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これからの医療と医療制度・22
ターミナル・ケア
著者: 寺崎仁1
所属機関: 1日本大学医学部医療管理学
ページ範囲:P.2098 - P.2099
文献購入ページに移動 今でこそ癌患者の終末期におけるターミナル・ケアの重要性が,医師をはじめとする医療従事者に限らず社会一般にも十分に認識されつつある.しかし,ほんの少し前までは,延命よりも患者のQOLを重視した終末期の医療は,医学における「敗北主義」と医療界で批判されることが少なくなかった.つまり,医学や医療の役割が患者の命を少しでも長らえさせることにあるとするならば,その延命よりも,むしろ患者に残された時間を意義のある人生として送らせることに治療の方針を転換することは,ある意味では医学や医療の果たす役割を放棄したと考えられたからである.
これは無理もないことで,科学としての医学はひたすら生命体としてのヒトの寿命を一分一秒でも長くすることに大きな価値を見いだしてきたのであり,その医学を基盤とする医療も延命こそが第一と考えられていたのである.したがって,医学教育においても死が間近に迫った患者への医療は,延命を図るための治療行為等を主な内容として教え込まれており,心のケアを含めた患者のQOLを意識した終末期の医療については,全くと言ってよいほどに教育されてこなかった.
これは無理もないことで,科学としての医学はひたすら生命体としてのヒトの寿命を一分一秒でも長くすることに大きな価値を見いだしてきたのであり,その医学を基盤とする医療も延命こそが第一と考えられていたのである.したがって,医学教育においても死が間近に迫った患者への医療は,延命を図るための治療行為等を主な内容として教え込まれており,心のケアを含めた患者のQOLを意識した終末期の医療については,全くと言ってよいほどに教育されてこなかった.
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