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雑誌目次

雑誌文献

medicina32巻11号

1995年11月発行

雑誌目次

今月の主題 脳卒中 Editorial

新時代の脳卒中診療

著者: 峰松一夫

ページ範囲:P.2126 - P.2128

ポイント
●新しい画像診断diffusion MRIで脳梗塞の超急性期診断,可逆性推定が可能である.
●非侵襲的な脳血管評価法であるTCD(経頭蓋超音波ドプラー法),MRA(MR angiography)が急速に普及している.
●急性期治療法として,血栓溶解療法,脳保護療法,血管内手術などが検討中である.
●頸動脈内膜剥離術や抗凝血薬療法などの脳梗塞予防効果が証明された.
●脳卒中診断においては教育,啓蒙,脳卒中診療チームの育成,科学的臨床研究体制の確立などの未解決の問題点がある.

脳卒中臨床の基礎

脳卒中の疫学—日本における実態と動向

著者: 上田一雄

ページ範囲:P.2130 - P.2132

ポイント
●日本人における脳出血・脳梗塞死亡率は,欧米諸国と同様,近年に至るまで一貫して減少しているが,地域研究では脳梗塞発症率が増加の傾向にあると指摘する研究がある.両者の乖離は脳梗塞軽症化に基づく致死率の減少によると考えられている.
●ラクナ梗塞には無症候性脳梗塞を合併する頻度が高い.これらの予後は良好であると考えられていたが,白質びまん性病変を伴う場合は注意が必要である.
●日本人脳梗塞の危険因子として,耐糖能異常,肥満,脂質代謝異常などの多重危険因子症候群が浮上してくる可能性がある.

脳卒中の病理

著者: 緒方絢

ページ範囲:P.2134 - P.2135

ポイント
●脳底部動脈血栓形成には,粥腫被膜の破綻,狭窄部のプラーク表面の病巣あるいは血流異常,粥腫内出血,などが原因となる.
●粥腫塞栓は心・大動脈・頸部動脈の手術・カテーテル検査あるいは線維素溶解薬使用時に起こることが多いが,きっかけがなく起こることもある.
●SAEの基本となる血管病変は脳内小動脈の動脈硬化性変化である.

脳卒中の分類

著者: 峰松一夫

ページ範囲:P.2136 - P.2138

ポイント
●米国の脳血管疾患分類第III版(NINDS-III,1990年)の臨床病型:無症候性,局所性脳機能障害(一過性脳虚血発作と脳卒中),血管性痴呆,高血圧性脳症.
●NINDS-IIIにおける脳梗塞分類法:発症機序(血栓,塞栓,血行力学性),臨床カテゴリー(アテローム血栓性梗塞,心原性脳塞栓,ラクナ梗塞,その他),部位による分類の併記.
●わが国の厚生省研究班分類(1990年):診断基準にCT所見を採用.脳梗塞(症)は,血栓症と塞栓症に分類.

脳卒中の脳循環と代謝

著者: 福山秀直

ページ範囲:P.2140 - P.2143

ポイント
●正常脳では脳血流量50mg/100g/min,脳酸素代謝率4ml/100g/min,脳酸素摂取率45%,脳血液量5ml/100gが標準値である.
●misery perfusion syndromeとは,虚血状態に陥った脳が脳代謝を正常に保つため,血管を拡張させ,酸素摂取率を高めて,脳への酸素供給量を増大させる状態である.
●脳は完全虚血に陥っても,4分以内に血流が回復すれば壊死には至らない.
●luxury perfusion syndromeとは,脳組織が壊死に陥り,代謝が低下して酸素の需要がなくなったにもかかわらず,脳血流量が多い状態をいう.
●脳血流は全身血圧の変動に左右されず,常に一定の値を保持しているが,加齢による動脈硬化などで自動調節能に破綻が生じてくる.したがって,高齢者では血圧の低下が脳梗塞の原因になることがある.

脳卒中における血小板機能,凝固・線溶能

著者: 内山真一郎 ,   山崎昌子

ページ範囲:P.2144 - P.2148

ポイント
●脳梗塞はアテローム血栓性,心塞栓性,ラクナに分類され,TIA(一過性脳虚血発作)はアテローム血栓性梗塞の前段階と位置づけられる.
●アテローム血栓性梗塞やTIAは頸部や脳内の大血管の粥状硬化巣に形成される血小板血栓に起因するため血小板活性化所見を認めることが多い.
●心原性脳塞栓症では心腔内や静脈に形成されるフィブリン血栓に起因するため凝固・線溶活性化所見を認めることが多い.
●ラクナ梗塞は穿通枝の細小動脈硬化に起因するが,血栓の関与は明らかではなく,血小板や凝固・線溶系の活性化所見に乏しい.

脳卒中の一次予防

リスク管理と脳卒中の予防

著者: 宇高不可思 ,   漆谷真 ,   亀山正邦

ページ範囲:P.2150 - P.2152

ポイント
●脳卒中のリスクファクターとして重要なものは,加齢,高血圧,心疾患,糖尿病,高脂血症,喫煙などである.
●脳卒中の一次予防には,高血圧の治療を第一とし,糖尿病,高脂血症の治療,禁煙などを行う.
●心疾患,特に心房細動は重症になることの多い脳塞栓症の原因として重要であり,適応を十分考慮したうえでwarfarinやaspirinの投与を行う.

脳ドックと脳卒中予防

著者: 小林祥泰

ページ範囲:P.2153 - P.2155

ポイント
●脳ドックは無症候性脳梗塞だけでなく,未破裂脳動脈瘤の発見に役立つ.
●脳ドックにおける無症候性脳梗塞の頻度は13.7%である.
●無症候性脳梗塞の最も重要な危険因子は高血圧である.
●無症候性脳梗塞を有する例は脳卒中発症のhigh risk groupである.
●無症候性脳梗塞から脳出血を起こすことに注意する必要がある.

抗凝血薬・抗血小板薬療法と脳梗塞予防

著者: 奥田聡 ,   伊藤栄一

ページ範囲:P.2156 - P.2158

ポイント
●脳卒中の危険因子の中でも特に高い発症率を有する因子に対しては,一次予防として薬物療法を考慮する必要がある.
●現在その対象となるのは心房細動で,特に高血圧性心疾患,虚血性心疾患,心筋症などを基礎疾患とし,弁膜症のない心房細動(NVAF)が重要となっている.75歳未満のNVAF患者は抗凝血薬療法の対象となりうる.
●一方,抗血小板薬療法はTIA(transient ischemic attack:一過性脳虚血発作)への適応が確立されてはいるが,厳密な意味での一次予防,すなわちTIA・脳梗塞,心筋梗塞などの既往のないlow risk群では自然経過での発症率自体が低く,抗血小板薬の有効性は証明されていない.

臨床病型:発生機序と急性期病態

アテローム血栓性脳梗塞

著者: 星野晴彦

ページ範囲:P.2160 - P.2162

ポイント
●アテローム血栓性脳梗塞の発生機序としては,アテローム硬化性病理変化による①主幹動脈血栓性閉塞病変に伴う血流不全を基盤とする皮質枝系脳血栓症と,②狭窄および閉塞病変から生じる血栓性栓子によるartery to artery塞栓による脳塞栓症の大きく2つがある(図1).

心原性脳塞栓症

著者: 岡田靖

ページ範囲:P.2163 - P.2165

ポイント
●心原性脳塞栓症の原因となる心疾患では,弁膜疾患をもたない心房細動が最も多く,発症急性期には生体内での凝固・線溶系の活性化がみられることが多い.
●特徴的な臨床症候として,局所神経症候の突発完成,時に重篤な症候の急速寛解,早期再発などがみられる.
●脳動脈の急激な閉塞により,皮質を含む広範な脳梗塞をきたし,脳浮腫が強い例が多い.亜急性期には大部分の例で閉塞血管の再開通がみられ,しばしば出血性梗塞を伴う.また病巣部で一時的に脳血流が増加し,脳代謝との不一致(いわゆるぜいたく灌流)が顕著であることも特徴の一つである.

ラクナ梗塞

著者: 早川功

ページ範囲:P.2166 - P.2168

ポイント
●ラクナ梗塞は,画像診断で急性期の神経所見と合致する15mm以下の小梗塞であり,予後はおおむね良好である.
●発症機序として,細小動脈硬化による脳血栓症が多いが,20〜30%に心原性やアテローム血栓性脳梗塞に分類される血管内動脈硬化病巣由来のartery to artery embolismが含まれているので,病型鑑別診断は治療方針を決めるため重要である.
●危険因子の治療が主体となり,現時点では抗血小板剤投与の有効性は,急性期や再発予防を含め結論が出ていない.

脳出血—高血圧性,非高血圧性

著者: 平田温

ページ範囲:P.2169 - P.2171

ポイント
●脳出血は発症6時間までは血腫が増大する可能性がある.
●発症時の状況では,仕事中の発症は確かに多いが,睡眠中あるいは入浴中など非活動時の発症も少なくない.
●脳出血の循環代謝量は,血腫周辺部で低下し,脳浮腫の領域にほぼ一致する.脳血流量と脳酸素消費量の不均衡はほとんどない.
●老年者の皮質下出血ではアミロイドアンギオパチーによるものが2割を占める.
●脳アミロイドーシスの遺伝性アミロイド性脳出血には,オランダ型(β前駆体蛋白)とアイスランド型(シスタチンCを前駆体蛋白とする)がある.

破裂脳動脈瘤

著者: 秋山義典 ,   橋本信夫

ページ範囲:P.2172 - P.2174

ポイント
●くも膜下出血の原因のほとんどは脳動脈瘤の破裂で,その発生頻度は,年間人口10万人あたり10〜20人である.
●特徴的症状は,突然起こる激しい頭痛で,出血が多ければ昏睡ないしは突然死に至る.
●治療成績は治療開始時の意識障害の程度とよく相関しており,社会復帰できるのは約40%程度に過ぎない.逆に,未破裂あるいは小出血の状態での治療予後はよい.
●再出血を生じると致命的で,続発する水頭症,脳血管攣縮も予後を悪化させる.
●したがって,“突然の激しい頭痛”を訴える患者に対しては,常に脳動脈瘤の破裂を念頭に置いて,迅速な診断・治療に努めるべきである.

その他の脳卒中—脳動静脈奇形,もやもや病,脳静脈洞血栓症など

著者: 川村伸悟 ,   安井信之

ページ範囲:P.2175 - P.2177

ポイント
●脳動静脈奇形は,動脈血が毛細管を経由せずに異常血管塊を介して静脈側に流入する疾患で,30歳台に多く,出血発症が多い(出血率=年間2〜3%).
●もやもや病は,両側内頸動脈末端が徐々に閉塞し,側副血行路として脳底部穿通枝が異常血管網を呈する疾患で,10歳未満と30歳台に発症のピークがある.小児では脳虚血,成人では出血で発症することが多い.病型は,一過性脳虚血発作,脳梗塞,痙攣発作,出血などである.
●脳静脈洞血栓症による静脈還流障害は,閉塞部位と側副血行により決まり,頭蓋内圧亢進,出血,静脈性脳梗塞などをもたらす.

脳卒中急性期の診断技術

脳卒中急性期診断の進め方

著者: 山口武典

ページ範囲:P.2179 - P.2181

ポイント
●脳卒中急性期の診断には,まず脳卒中以外の疾患を除外することが重要である.
●問診は手短に,かつポイントを押さえて,診察は神経学的所見だけでなく,循環系を含めて全身の理学的所見をとる.
●脳梗塞の診断にはその発症メカニズムを考慮したうえで,臨床カテゴリー分類を行う.
●脳梗塞超急性期のCTでは,脳溝の消失,基底核部の無構造化を見逃さないことが重要である.
●脳の検査(CT,MRI)だけでなく,心・血管系(心エコー図,MRA,超音波断層・ドプラー),血液凝固系の検査を忘れてはならない.

脳梗塞の臨床症候—テント上

著者: 脇田英明 ,   冨本秀和 ,   秋口一郎

ページ範囲:P.2182 - P.2184

ポイント
●脳梗塞の臨床症候は,血管症候群としてとらえることが重要である.
●内頸動脈閉塞症は,無症候の例から高度の意識障害から死亡に至る重症例まで,多様な臨床症候を呈するが,中大脳動脈領域の梗塞が最も多い.一般に閉塞が急に起これば梗塞は大となり,症候は重症となる.
●前大脳動脈閉塞症では,運動・感覚障害,離断症候群,言語障害,自律神経障害,前頭葉症候群が認められる.
●中大脳動脈閉塞症では,反対側の片麻痺,感覚障害が出現し,優位半球の障害では失語症を認める.
●後大脳動脈閉塞症では,視床症候群,中脳症候群,後頭葉症候,側頭葉症候を呈する.

脳梗塞の臨床症候—テント下

著者: 高木誠

ページ範囲:P.2185 - P.2187

ポイント
●テント下梗塞は,血管支配や解剖学的特殊性からテント上梗塞とは異なる臨床的特徴を持つ.
●延髄外側や小脳前下部の梗塞では,激しいめまいと平衡障害を起こすことが多く,末梢性めまいとの鑑別が必要である.
●テント下梗塞の局在診断には,瞳孔,眼位,眼球運動などの神経眼科的所見が重要である.
●橋中部から中脳の被蓋に存在する上行性網様体賦活系が障害されると,覚醒度の障害を主体とした意識障害が起こる.
●橋底部は脳幹梗塞の好発部位で,構音障害が強い片麻痺,または軽度の不全片麻痺と同側の小脳失調の合併などがみられる.

脳出血の臨床症候

著者: 北井則夫

ページ範囲:P.2188 - P.2189

ポイント
●脳出血の臨床症候の特徴は,日中活動時に発症することが多い.しばしば頭痛・悪心・嘔吐を伴い,片麻痺などの脳局所徴候が急速に進行し数時間以内に完成する.また,意識障害をきたしたり,発症時に高血圧を示すこともある.
●脳出血の部位診断のポイントは眼症状であり,被殻出血では血腫側へ向かう眼球共同偏倚,視床出血では下方眼球共同偏筒(鼻先凝視)とHorner症候群,橋出血ではpinpointpupilsとocular bobbing,小脳出血では血腫と反対側への眼球共同偏倚を呈する.

くも膜下出血の臨床症状

著者: 種子田護

ページ範囲:P.2190 - P.2192

ポイント
●典型的な症状は突然に起こる嘔吐を伴った烈しい頭痛であるが,例外も多い.
●40〜50歳台に最も多く,高齢では女性の発生率が圧倒的に高い.
●まず行う検査はCTスキャンである.

CT・MRI

著者: 小川敏英 ,   奥寺利男

ページ範囲:P.2193 - P.2195

ポイント
●急性期の出血性脳血管障害の診断において,CTはその存在診断に有用であるのに対して,MRIは原因疾患の診断に役立つ.
●塞栓性閉塞による比較的広範な虚血例では,発症6時間以内の超急性期であっても,CTで異常所見を検出できることが少なくない.
●超急性期の虚血性脳血管障害のMRI診断では,プロトン密度強調像,FLAIR(fluid-attenuated inversion recovery)像が有用である.
●急性期の虚血性脳血管障害の診断において,血流情報が得られるMRIは,頭蓋内外の主幹動脈狭窄・閉塞の診断に有用である.

脳血管撮影・DSA・MRA

著者: 宝金清博

ページ範囲:P.2196 - P.2198

ポイント
●脳血管撮影は最も高い空間解像能があり,現在でも脳卒中診断のstandardである.
●DSAは空間解像能において脳血管撮影に劣るが,高い密度分解能と時間分解能を有している.
●DSAはその場で画像を確認することができることや,コントラストの高い静脈相画像が得られるなど,脳卒中の診断において有利な面が多く,脳血管撮影に代わりつつある.
●MRAは空間解像能,密度分解能,時間分解能,いずれにおいても脳血管撮影,DSAに劣るが,造影剤,カテーテルを全く使用せず,侵襲性が最も低く,脳卒中のスクリーニング,特に狭窄性病変や3mmを超えるサイズの脳動脈瘤の診断において優れている.

神経超音波検査

著者: 木村和美 ,   橋本洋一郎 ,   堂坂朗弘

ページ範囲:P.2200 - P.2205

ポイント
●プラークはエコー輝度より,homogeneous plaqueとheterogeneous plaqueに分けられる.
●Heterogeneous plaqueは,虚血性脳血管障害をきたしやすい.
●カラードプラを用いると内頸動脈起始部の高度狭窄と閉塞の鑑別が容易である.
●塞栓性内頸動脈閉塞は,経時的観察で再開通した場合,血流速度に変化がみられる.
●パルスドプラを用いると,SSS(subclavian steal syndrome)とSSP(subclavian stealphenomenon)は,椎骨動脈の血流の逆流が観察される.
●経頭蓋超音波カラードプラ法は,中大脳動脈の閉塞診断に有用である.

SPECT・PET

著者: 長田乾

ページ範囲:P.2207 - P.2212

ポイント
●PETにより脳血流量(CBF),脳酸素消費量(CMRO2),脳ブドウ糖消費量(CMRGlu)などの絶対値の画像が得られる.
123I-IMP,99mTc-HMPAO,99mTc-ECDを用いたSPECTでは基本的にはCBFの相対値の画像が得られる.
●luxury perfusion syndromeでは酸素摂取率(OEF)が亢進し,CBFの低下に対してCMRO2は保たれる.
●luxury perfusion syndromeにみられるCBFの増加は機能回復を反映しない.

心・大動脈疾患の検索

著者: 豊田一則

ページ範囲:P.2213 - P.2215

ポイント
●脳卒中患者における心・大動脈疾患の合併は,脳卒中の原因疾患として,また急性期治療の阻害要因として重要であり,速やかに検査すべきである.
●不整脈は一過性であることも多く,ホルター心電図や連続モニターが必要となる.
●器質的心疾患の診断手段としては心エコーが簡便かつ有用で,特に心房レベルの評価は経食道法が優れている.
●大動脈疾患も脳への塞栓源となり,診断手段として経食道心エコーが有用である.

脳卒中急性期の治療

脳卒中急性期治療の基本方針

著者: 篠原幸人

ページ範囲:P.2217 - P.2219

ポイント
●適切な超早期治療(発症後4〜6時間以内)により,脳卒中の死亡率を減少させ,後遺症を軽減させることが可能である.
●脳卒中は脳出血であれ脳梗塞であれ,その本態は脳循環障害であるので,その病態の理解が治療を考えるうえで必要である.
●発症後4〜6時間以内の脳卒中に対する対処法と治療法の総論をABC順に説明する.
●薬物療法としては脳卒中一般に抗脳浮腫薬が使用されるが,さらに脳出血には高血圧対策,脳血栓症にはトロンボキサン合成酵素阻害薬,脳塞栓症には線溶療法および塞栓源の発見と抗凝血薬による再発予防,脳動脈瘤破綻によるくも膜下出血には脳外科的治療が治療のポイントとなる.

全身管理—初期治療・安静度・輸液管理など

著者: 寺谷禎真 ,   衣川秀一

ページ範囲:P.2220 - P.2222

ポイント
●脳卒中急性期の全身管理は,急性期の生命予後を左右するだけではなく,退院後のADL(activities of daily living)にも大きく関係する.
●脳卒中患者は基礎疾患を有するものが大半であり,その病態の悪化に対しても十分注意する必要がある.
●早期リハビリテーションは廃用症候群を予防し,早期離床を可能にするが,脳循環悪化を引き起こす可能性もあり慎重に行う.

血圧管理

著者: 井林雪郎

ページ範囲:P.2223 - P.2225

ポイント
●脳卒中急性期にみられる反応性の血圧上昇は原則として降圧しない.
●虚血周辺部の血流維持という点では,むしろ急激な血圧下降は避け,数日ないし1週間で自然に下降するのを待つのが最善の策である.
●例外的に降圧する場合でも,発症後平均血圧の80〜90%程度に保つようにする.脳梗塞では脳出血よりやや高めに維持する.
●使用する降圧薬としては脳血管,脳血流に悪影響の少ないもの(Ca拮抗薬,アンギオテンシン変換酵素阻害薬など)を選択したい.
●降圧は原則として発症1カ月以降に開始し,数カ月以上の期間をかけて緩徐に行う.

脳浮腫対策

著者: 片山泰朗 ,   飯田恵 ,   赫彰郎

ページ範囲:P.2227 - P.2229

ポイント
●脳浮腫の治療の目的は,まず第1に増大した脳容積を減少させ,脳ヘルニアへの進展を防止すること,また,微小循環障害を取り除き,機能的予後の改善を図ることにある.
●高張溶液療法は,現在一般的に行われている最も効果的な療法である.
●グリセロールは脳血管障害発症早期より,200〜300mlを1日3〜4回投与する.
●過量の投与は有害である.

脳梗塞急性期の治療

著者: 棚橋紀夫

ページ範囲:P.2230 - P.2232

ポイント
●脳梗塞の臨床病型,責任血管を念頭に治療する必要がある.
●脳浮腫治療薬(グリセロール)はすべての病型に適応となる.
●血栓溶解療法は,行うとすれば脳塞栓症の超早期(できれば3時間以内)の症例である.
●トロンボキサンA2合成酵素阻害薬(オザグレル)は,脳血栓症,特にラクナ梗塞の神経症状の改善に有用である.
●血液レオロジー因子改善療法は,高ヘマトクリット血症の患者で適応となる.

脳出血急性期の治療

著者: 黒田清司 ,   小川彰

ページ範囲:P.2234 - P.2237

ポイント
●脳出血の急性期治療は続発する周囲脳の二次的損傷を最小限にとどめることと,全身合併症の予防が中心となる.
●再出血防止のため20%を目標とした緩徐な降圧を図る.過度の降圧は広汎な脳血流低下を招き禁忌である.
●合併症は肺炎,中枢性胃腸管出血,尿路感染症などであり,全身管理による対策が必要である.
●手術法は現在定位的血腫吸引術が主体となっている.
●外科治療の適応は意識清明と深昏睡例にはなく,被殻出血では傾眠から半昏睡までの間で,血腫量31ml以上,内包前後脚に及ぶものに手術適応がある.

くも膜下出血急性期の治療

著者: 永田泉 ,   宮本享 ,   菊池晴彦

ページ範囲:P.2238 - P.2240

ポイント
●手術までは再破裂の防止が最も重要である.
●発症6時間以内は再破裂の危険が大きい.
●Hunt & Kosnik分類でgrade 3〜4までが早期手術の対象となる.
●直達手術はできれば発症3日以内に行ったほうがよい.
●約30%で症候性脳血管攣縮が発生する.
●亜急性期〜慢性期の正常圧水頭症には脳室腹腔吻合術を行う.

脳卒中急性期の診断・治療の新展開

脳梗塞の成因に関する話題・1—奇異性脳塞栓・大動脈由来の脳塞栓

著者: 伊藤泰司 ,   半田伸夫 ,   松本昌泰 ,   鎌田武信

ページ範囲:P.2241 - P.2243

ポイント
●大動脈弓・頸動脈における潰瘍性病変および狭窄性病変は血管原性脳塞栓の原因となりうる.
●経食道エコー法は大動脈弓における狭窄性病変などの動脈硬化性病変の診断には有用であるが,潰瘍性病変の診断精度はまだ低い.
●頸部B-mode法は頭蓋外頸動脈の潰瘍性病変および狭窄性病変の診断に有用である.
●経頭蓋超音波ドプラ法により,血管原性emboliをhigh-intensity transient signalとしてとらえる方法は,血管原性脳塞栓の有力な診断方法の一つとなる可能性がある.
●卵円孔開存による奇異性脳塞栓は原因不明の突発発症の脳梗塞に高率に認められる.
●卵円孔開存の検査方法は,microbubblesを使用することにより経頭蓋超音波ドプラ法および経食道心エコー法にて診断が可能である.

脳梗塞の成因に関する話題・2—抗リン脂質抗体と脳卒中

著者: 北川泰久

ページ範囲:P.2244 - P.2246

ポイント
●抗リン脂質抗体のうち血栓症との関連が明らかにされているのはlupus anticoagulantと抗カルジオリピン抗体である.
●抗カルジオリピン抗体はELISA法によるほか,β2-glycoprotein Iの測定も行う.
●本抗体陽性でみられる動脈系の血栓症は脳梗塞が最も多い.
●本抗体陽性脳梗塞は若年発症が多く,病変は多発性で,再発が多く,予後不良のことが多い.
●抗カルジオリピン抗体は脳梗塞の独立したリスクファクター,再発のマーカーとなりうる可能性がある.
●血栓発症のメカニズムはまだ定説がなく,治療法もまだ確立されていない.

急性期脳卒中の重症度診断と予後—Stroke scale

著者: 寺山靖夫

ページ範囲:P.2248 - P.2252

ポイント
●Stroke scaleとは脳血管障害患者の経過観察や治療効果の判定のために,重症度や予後などを客観的に評価する方法で,その目的のために各評価項目について採点を行い,これを集計して総合的な評価を行うscoring systemをいう.
●Stroke scaleは大きくphysical deficit scale(またはstroke impairment scale)とfunctional scaleの2つに分けられる.
●Stroke scaleに具備されるべき必要条件にはreliability(信頼性),validity(妥当性),responsiveness(or sensitiveness,反応性または感受性)などがあるが,特に神経学的所見の定量化が問題となり,現時点ではこれらの条件を完全に満たしているscaleはない.
●理想的なscaleの開発は脳血管障害の診断および治療薬の薬効判定には重要で,特に治療の分野での大きな進歩を導きだす可能性がある.

脳卒中急性期の新しい診断技術—diffusion MRIを中心に

著者: 長谷川泰弘

ページ範囲:P.2254 - P.2257

ポイント
●diffusion MRIにより,虚血性脳血管障害超急性期に(動物実験では発症数分後から),脳虚血病巣を高信号域として検出することができる.
●この変化は,脳エネルギー代謝障害による細胞外から内への水の移動(cytotoxicedema)を主に反映すると推定されている.
●これまで困難であった虚血性ペナンブラの評価,拡延性抑制(spreading depression)の画像化,脳温の評価など,超急性期の脳虚血病態解明にも有力な情報を与えるものと期待される.
●今後急速に普及し,脳梗塞超急性期の病巣診断,超急性期治療の客観的評価に威力を発揮するものと思われる.

脳卒中急性期治療薬の開発動向

著者: 米田行宏 ,   森悦朗

ページ範囲:P.2258 - P.2260

ポイント
●脳梗塞急性期の治療薬として血栓溶解剤と神経細胞保護剤の2種類が検討されている.
●新しい血栓溶解剤として注目されている組織プラスミノーゲン・アクチベーター(t-PA)は,まもなく臨床使用される可能性が高い.
●神経細胞保護剤には,NMDA(N-methly-D-asparate)受容体拮抗剤,カルシウム拮抗剤,抗酸化剤などがあり,脳梗塞以外の脳卒中治療薬としても期待されている.

脳外科手術の進歩—血管内手術など

著者: 高橋明

ページ範囲:P.2261 - P.2263

ポイント
●脳卒中は脳血管障害であり,血管内手術に適した病態である.
●急性期の治療として注目されているのは,脳動脈瘤と脳梗塞である.
●脳動脈瘤については離脱型コイルによる治療が始まっており,症例を選べば有効である.
●脳梗塞では脳塞栓症が良い適応で,術前に適応症例を選択する必要がある.

脳卒中の再発予防のトピックス

血圧コントロールをどうするか

著者: 入江克実

ページ範囲:P.2264 - P.2267

ポイント
●脳血管障害の再発予防には血圧の適切な管理が重要であり,高過ぎても低過ぎても好ましくない.
●拡張期血圧と再発率との間には,いわゆるJカーブ現象が指摘されており,拡張期血圧が80〜90mmHgの範囲で最も再発が少ないとされている.さらに,脳血管障害の病型によって最適な降圧目標が異なる可能性があり,主幹脳動脈血栓症ではやや高めに,脳出血ではやや低めにコントロールすべきであると思われる.

抗血小板療法は有効か—脳梗塞臨床病型別の効果

著者: 西丸雄也

ページ範囲:P.2268 - P.2269

ポイント
●抗血小板療法は脳梗塞の再発を20〜40%減少させる.
●再発予防効果が期待できる病型はアテローム血栓性脳梗塞である.
●脳梗塞の病型分類は治療方針決定に必要である.

低用量抗凝血薬療法は有効か—心原性脳塞栓症の再発予防

著者: 森安秀樹

ページ範囲:P.2270 - P.2272

ポイント
●心原性脳塞栓症の基礎疾患としては,非弁膜症性心房細動(nonvalvular atrial fibrillation:NVAF)が最多である.
●抗凝血薬療法のモニタリングとして,プロトロンビン時間のInternational Normalized Ratio(INR)が必須である.
●NVAFによる塞栓症発症の一次予防には,低用量の抗凝血薬療法(INRで2.0未満)も有効である.
●NVAFによる塞栓症発症の再発(二次)予防における,低用量の抗凝血薬療法(INRで2.0未満)の有効性は確立されていない.
●現時点でのNVAFによる塞栓症発症の再発(二次)予防における推奨される治療域は,INRで2.0〜3.0である.

どんな場合に頸動脈内膜剥離術を行うか

著者: 宇野昌明 ,   上田伸

ページ範囲:P.2273 - P.2275

ポイント
●脳梗塞の再発を防ぐという目的からは,70%以上の頸動脈狭窄を示す症候性の頸動脈狭窄症に対しては頸動脈内膜剥離術(CEA)の適応がある.
●60%以上の頸動脈狭窄を示す無症候性の頸動脈狭窄症に対してもCEAの適応があるが,施設の手術成績のレベルが一定以上である必要がある.
●潰瘍を伴う頸動脈狭窄は塞栓源となりやすいため,CEAの適応となるものがある.
●70歳以上の高齢者に対しても,CEAの危険率は70歳未満の症例と比較して有意差はないが,心肺系の合併症を生じやすいので,慎重に行う必要がある.
●両側CEA症例は慎重かつ高度な技術が必要である.
●CEA症例は冠動脈狭窄を高率に伴うため,患者管理上厳重な注意が必要である.

座談会

脳卒中急性期の診断と治療をめぐって

著者: 小川彰 ,   内山真一郎 ,   松本昌泰 ,   峰松一夫

ページ範囲:P.2276 - P.2287

 峰松(司会) 今日の座談会は「脳卒中急性期の診断と治療をめぐって」ということで,3人の先生方にお集まりいただきました.お忙しい中をありがとうございます.
 本論に入る前に,私自身が常々感じていることですが,10〜20年前の脳卒中と比べると,最近いろいろな意味で大きな変化が起こっているように思います.例えば,以前は脳出血の死亡率が高かったわけですが,最近の久山町のデータなどではそれが非常に低くなっていますし,患者自体もかなり高齢化している.また一方では,いろいろな検査法が進歩し血管などを非侵襲的に評価できるようになり,新しい治療法も提唱されています.

理解のための40題

ページ範囲:P.2288 - P.2295

グラフ 検査・診断のためのCurrent Technology—原理と臨床的意義・11

染色体分析法

著者: 藤原睦憲 ,   佐藤美帆 ,   向井裕幸

ページ範囲:P.2313 - P.2317

 リンパ球や線維芽細胞などの体細胞を対象とする先天異常の分野で確立された染色体分析は,今や腫瘍細胞にも応用されている.しかし血液疾患の染色体検査はある程度普及しているが,固形腫瘍の分析を実施している施設は極めて少ない.腫瘍の「遺伝子の異常」を研究する場合,染色体レベルの観察は不可欠で,遺伝子解析が進むにつれその必要性は増すと思われる.ある特定の染色体異常は腫瘍と関連する遺伝子の手がかりとなるので,DNAレベルの研究のために,手術で得られた腫瘍組織と正常組織をディープフリーザーで保存しておくべきであろう.
 本稿では,筆者らが実施している固形腫瘍の分析方法を紹介したい.

演習・胸部CTの読み方・5

労作時呼吸困難を主訴とする72歳の男性

著者: 徳永豊 ,   山木戸道郎 ,   粟井和夫

ページ範囲:P.2299 - P.2304

Case
 【症例1】 72歳,男性.平成5年3月頃より労作時呼吸困難出現.時折,喘息様の発作あり.平成6年5月,呼吸困難が増大するため(Hugh Jones III度)当科受診.身長158cm,体重50kg.両肺の呼吸音減弱.胸部X線検査;CTR 39%.両側肺野の透過性亢進および末梢血管影減少.肺機能検査では,肺活量2.41l,%肺活量74%,1秒量0.47l,1秒率21%.動脈血ガス分析PaO2 54Torr,PaCO2 59Torr,pH 7.325.喫煙歴;1日20本,50年間.
 肺実質障害の評価のため,胸部CT検査を実施した.図1a(右図)は肺野条件の胸部CT(5ミリ厚スライス).

知っておきたい産科婦人科の疾患と知識・3

貧血と子宮筋腫

著者: 松敬文 ,   田中雄一郎 ,   宮川勇生

ページ範囲:P.2321 - P.2323

 子宮筋腫は性成熟期女性の20〜25%に認められる良性腫瘍であり,婦人科疾患の中では最もよく遭遇する疾患である.患者は過多月経およびそれによる貧血症状,腰痛,下腹部膨満感,便秘などの症状を訴えて受診するが,無症状のものも多い.また内科医から,強い貧血があるために子宮筋腫についての精査を依頼されることもある.子宮筋腫は良性腫瘍であるが,まれに子宮平滑筋肉腫や他の悪性腫瘍との鑑別が困難な症例もみられる.
 本稿では,当科で最近経験した重症貧血を伴った子宮筋腫の症例を提示し,その診断および対応のポイントを述べる.

連載

目でみるトレーニング

ページ範囲:P.2306 - P.2311

これからの医療と医療制度・23

脳死と臓器移植

著者: 寺崎仁

ページ範囲:P.2326 - P.2327

 血液もヒトの重要な臓器の一つであるから,輸血という臓器移植は日本に限らずどの国でも,普通に行われる医療として随分と古い歴史がある.もちろん,宗教上の理由でそれを拒む人も大勢いるが,基本的には社会に受け入れられた医療としてごく一般的に行われている.また,死体腎移植や角膜の移植なども,従来からの「死の定義」を変更することなく十分に対応可能であり,既に社会的にも容認された医療として病に苦しむ多くの患者に福音をもたらしている.さらに,骨髄移植や生体肝移植なども,健康な人の体を傷つける,あるいは家族などに臓器の提供を強いることになりかねない,とする若干の倫理的問題を指摘されてはいるが,おおむね社会に認められた医療として急速に普及しつつある.しかし,今ここで問題にしようとしているのは,「死の定義」を変更しなければならないとされている移植医療,つまり「脳死患者」からの臓器摘出の是非についてである.
 「脳死と臓器移植は別の問題として考えるべきだ」とする意見があるが,なぜ現在わが国で脳死の問題が議論されているのかを考えれば,やはり臓器移植との関連を否定するには少し無理があるように思われる.

アメリカ・ブラウン大学医学部在学日記・14

「患者の権利」を考える

著者: 赤津晴子

ページ範囲:P.2330 - P.2332

 アメリカの医療機関で働いてみて,患者の権利擁護について日本の状況と著しく異なる点を痛感した.これに関して日本の友人の死に接した経験が今でも強く心に残っている.

医道そぞろ歩き—医学史の視点から・7

肺結核と戦ったラエネックの聴診法

著者: 二宮陸雄

ページ範囲:P.2324 - P.2325

 フランスのラエネック(Rene T.H.Laënnec,1781〜1826年)の名は肝硬変の剖検所見の記載でよく知られています.肝硬変についてラエネックは次のように記しています.「肝臓は通常の3分の1の大きさに縮小し,……その外表面は顆粒状でしわが寄っており,灰緑色をしている.割面は多数の小さな円形ないし卵形の小葉から成っているように見え,それは辛子ないし大麻の粒の大きさであった」.実は,この肝硬変の症例はラエネックの胸部疾患の本の中にあります.その本は「間接聴診法,あるいは主に新しい検査手段に基づく肺と心臓の疾患の診断に関する研究」(1819年初版)という題ですが,その中でラエネックは初めて聴診器とその使用結果を発表しています.当時,アウエンブルッガーの打診法は知られていましたが,聴診をするためには耳を直接胸につけて音を聞いていたのです.ラエネックの聴診器を日本に初めて導入したのは,嘉永2年(1849年)に長崎で牛痘痂皮を輸入したオランダのモーニケです.オランダ通詞品川梅村が職人に模造させ,これが若狭藩医杉田成卿の手に入ります.成卿はモーニケの解説文を訳し,「済生備考」(嘉永3年)の中に「聴胸器用法略説」として図解収録しています.石田純郎氏によると,長崎大学医学図書館にモーニケの聴診器が保存されているそうです.

SCOPE

PTCA施行後10年間の長期予後

著者: 延吉正清

ページ範囲:P.2335 - P.2338

 PTCA(percutaneous transluminal coronaryangioplasty)の長期予後についてはGruentigによってスイスで行われた症例の予後調査をDr. King1)が行っているが,この他は長期予後についての報告はほとんどない.PTCAの長所として,同じ血行再建術であるA-Cバイパスに比し,短時間で,しかも非開胸下で行えるなど多くの長所を有している.しかしながら,欠点として再狭窄がある.また,現在のところ長期予後に関しては不明といっても過言ではない.
 今回,筆者らはPTCAを施行し,10年以上経過した症例につき臨床的および造影上の追跡調査をしたので報告する.

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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