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文献詳細

雑誌文献

medicina32巻12号

1995年11月発行

増刊号 Common Disease 200の治療戦略

循環器疾患

拡張型心筋症

著者: 和泉徹1

所属機関: 1新潟大学医学部第1内科

ページ範囲:P.63 - P.66

文献概要

疾患概念と病態
 拡張型心筋症の基本概念は,図1に示したとおり3つの基本病像からなる.収縮力低下や拡張障害に基づく心筋不全と,左室や左房拡大を主徴とする心拡大,その結果生じた心筋重量の増大,すなわち心肥大の3つである.本症がうっ血型心筋症と呼ばれていた頃とは異なり,今日では早期発見が常識化した.したがって,心症状が乏しく,心筋不全を端的に示す壁運動低下(駆出率低下)と収縮末期容量の増加(左室拡大)を主徴とする患者が多くなってきている.その分,拡張型心筋症の診断と治療には心エコー検査が重要である.
 本症の成因はいまだ特定されていない.病因としては,遺伝子や代謝異常,心毒素,微小循環不全,活性化酸素,カルシウム過負荷,心筋炎,自己免疫,除神経などが候補としてあげられている.病因が何であるにせよ,①心筋病変の進行度,②慢性心不全の重症度,③致死性不整脈の合併,④血栓塞栓の発症,が生命予後を左右する.患者の治療においては,これらの病態の正確な診断を先行させなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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