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増刊号 Common Disease 200の治療戦略 消化器疾患
B型慢性肝炎
著者: 片山和宏1 林紀夫1
所属機関: 1大阪大学医学部第1内科
ページ範囲:P.179 - P.181
文献購入ページに移動B型肝炎ウイルス(HBV)により肝機能異常が6カ月以上持続し,肝生検で肝細胞に種々の程度の変性壊死が認められるほか,門脈域に円形細胞の浸潤や線維化がみられるものがB型慢性肝炎であり,門脈域の削り取り壊死の有無により活動性と持続性に分けられる.
本邦ではHBV感染のほとんどが母児感染により成立しており,感染後の自然経過はほぼ次のように考えられている1).感染早期の若年齢では感染ウイルス量が多いにもかかわらず,免疫力が弱いために肝炎のない時期(1期)がみられるが,ウイルス抗原に対する免疫反応の出現とともに肝炎が発症し,ウイルス量が減少していく(2期).これ以降の過程で慢性肝炎や肝硬変,さらには肝癌の発生がみられる.ウイルスがほぼ排除されたのちも多くの場合宿主遺伝子に組み込まれたウイルスDNAからS抗原などが発現する(3期).
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