icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina32巻12号

1995年11月発行

文献概要

“ホッ”とspot

病変は一つではない

著者: 斎藤祐一郎1

所属機関: 1市立岡崎病院消化器科

ページ範囲:P.181 - P.181

文献購入ページに移動
 57歳時に,左耳下腺癌で手術の既往のある60歳の男性.今回は下咽頭癌の診断で,耳鼻科にて下咽頭喉頭頸部食道摘出術を受けたが,術直後に吻合部狭窄をきたし,経口摂取が全くできないとのことで当科を紹介受診した.何回か内視鏡下に拡張術を行うことで,内視鏡が吻合部を通過するようになり,やれやれと思ったが,念のため,その奥を観察すると,1m領域に長さ8cmにも及ぶ進行食道癌の病変を認めた.下咽頭の病変が,食道癌の転移か原発なのかは不明であるが,食道癌は手術不可能と判断し,放射線と抗癌剤による内科的治療を行い,無事に1年が経過した.しかし,患者は声帯がなくなってしまったために,会話ができないことには変わりはない.教科書的には,頭頸部癌と食道癌は高率に合併をみることは常識であるが,下咽頭の病変を見つけた際に,食道も検査していれば治療方針も異なっていたと推測される.内科的治療で改善はしたが,悔いの残る症例である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら