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文献詳細

雑誌文献

medicina32巻12号

1995年11月発行

文献概要

増刊号 Common Disease 200の治療戦略 神経・筋疾患

血管性痴呆—無症候性脳梗塞を含む

著者: 福井俊哉1

所属機関: 1昭和大学医学部神経内科

ページ範囲:P.247 - P.249

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疾患概念と病態
 血管性痴呆(vascular dementia)とは,虚血か出血であるかを問わず,その原因が脳血管性病変であるものを指す.痴呆脳では,病理学的に血管性病変か老年性病変のいずれかが高度であることが知られており1),①一定量以上の血管性病変が主体の群,②アルツハイマー(Alzheimer)病でみられる老人性変化が主体の群,③両者が混合する群の3群に分類される.Hachinski2)は自らが作成した脳虚血スコアを用いて,これら3群の生前診断が可能であるとし,血管性病変による痴呆を“multi-infarct dementia”(多発梗塞性痴呆)と命名した.この名称は,白質の小梗塞多発状態だけでなく,皮質・白質の大小梗塞の多発状態も意味している.
 一方,Binswanger病(進行性血管性白質脳症)は,脳の慢性虚血が白質のびまん性髄鞘喪失をきたす病態であり,痴呆を特徴とする.他にも,多発性の脳出血や特定の脳部位(視床内側核,内包膝部,海馬など)の単発梗塞も痴呆の原因になることが知られている.以上のように,血管性痴呆とは多発梗塞性痴呆だけではなく,進行性血管性白質脳症,多発性脳出血,特定部位の単発性脳梗塞による痴呆などがすべて含まれた概念である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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