文献詳細
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“ホッ”とspot
Münchhausen症候群
著者: 大居慎治1
所属機関: 1松江赤十字病院内科
ページ範囲:P.255 - P.255
文献購入ページに移動私の経験した患者は56歳の女性で,歯肉出血,皮下出血を主訴に来院した.もともと低体重出生児で歩行開始は3歳,精神発達遅延もあった.約10年前に糖尿病と診断され,通院治療を受けている.小児期にはよく皮下出血があったらしい.約10年前にも凝固時間の延長があり入院したが,原因不明であった.数年前,意識障害で救急外来を受診したが,何の異常もなく,つまりは“死んだふり”であった.義歯を飲み込んだこともあった.ただ,今回はプロトロンビン時間,活性化部分トロンボプラスチン時間とも著しく延長しており,糖尿病の主治医は今回は本当の病気かも知れないと語った.家族歴でも9人の兄弟のうち2人が生後まもなく死亡しており,両親と父方の祖父母の2代にわたり,いとこ同士の結婚であったから,何となく先天性の疾患を思わせた.
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