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文献詳細

雑誌文献

medicina32巻12号

1995年11月発行

文献概要

“ホッ”とspot

Münchhausen症候群

著者: 大居慎治1

所属機関: 1松江赤十字病院内科

ページ範囲:P.255 - P.255

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 Münchhausenとはドイツのお伽話に出てくるほら吹き男爵の名前である.派手な急性症状をくり返して治療を受けるが,訴えは虚偽やわざとらしさがあったり,検体に手を加えたり,時には自傷行為や異物を摂取するなどし,医療者とトラブルを起こすようなことをさしてMünchhausen症候群という.
 私の経験した患者は56歳の女性で,歯肉出血,皮下出血を主訴に来院した.もともと低体重出生児で歩行開始は3歳,精神発達遅延もあった.約10年前に糖尿病と診断され,通院治療を受けている.小児期にはよく皮下出血があったらしい.約10年前にも凝固時間の延長があり入院したが,原因不明であった.数年前,意識障害で救急外来を受診したが,何の異常もなく,つまりは“死んだふり”であった.義歯を飲み込んだこともあった.ただ,今回はプロトロンビン時間,活性化部分トロンボプラスチン時間とも著しく延長しており,糖尿病の主治医は今回は本当の病気かも知れないと語った.家族歴でも9人の兄弟のうち2人が生後まもなく死亡しており,両親と父方の祖父母の2代にわたり,いとこ同士の結婚であったから,何となく先天性の疾患を思わせた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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