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文献詳細

雑誌文献

medicina32巻12号

1995年11月発行

増刊号 Common Disease 200の治療戦略

神経・筋疾患

パーキンソン病

著者: 横地正之1

所属機関: 1東京都立荏原病院神経内科

ページ範囲:P.259 - P.262

文献概要

疾患概念と病態
 本症は1817年,英国の神経科医J.Parkinsonが「An Essay on the Shaking Palsy(振戦麻痺)』という小冊子を出版したことが疇矢である.しかし,長い間顧みられず,70年後の1888年,フランスのJ.M.Charcotがこの書物を激賞し,maladiede Parkinson(パーキンソン病)と呼んだ.本態を探る病理知見は,1913年Lewyによる細胞内封入体(Lewy小体)の発見,1919年Tretiakoffが本症の病理学的特徴は黒質の変性であることを明らかにし,1953年にGreenfieldらにより,黒質のメラニン含有細胞の変性・消失とLewy小体の出現が本症の病理所見として確立された.さらに1960年,EhringerとHornykiewiczにより本症患者の黒質-線条体ニューロンのdopamineが減少していることが発見され,本症の病理・病態プロセスが明らかとなった.直ちにdopamineの前駆物質であるL-Dopaの治療開発が始まった.
 本症の発症年齢は55歳ないし65歳で,男女差はない.稀に10〜30歳台の若い発症もあり,若年性パーキンソニズムといわれている.有病率は欧米より下回るとされてきたが,人口構成の高齢化とともに,欧米に近い100以上であることが中島らの米子市の疫学調査で明らかにされた.神経難病の中では圧倒的に多い疾患である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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