icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina32巻12号

1995年11月発行

文献概要

増刊号 Common Disease 200の治療戦略 神経・筋疾患

ベル麻痺

著者: 岡安裕之1

所属機関: 1聖路加国際病院内科

ページ範囲:P.264 - P.265

文献購入ページに移動
疾患概念と病態
 ベル麻痺は特発性の末梢性顔面神経麻痺であり,一側性の麻痺がほとんどである.発症は亜急性で,寝て起きたら気がつくようなときから,鏡を見ておかしい,あるいは家人から「顔の動きがいつもと違う」といわれてから数日のうちに麻痺が明らかとなることまである.発症すると,麻痺は急速に完成し,1週以上麻痺が進行することは少ない.半数近くの症例で感冒様の症状が先行する.表情筋の一側の麻痺に加えて,早期に約半数で耳介後部乳突突起の部分に痛みを認める.これより少ないが,舌先の味覚の低下,聴覚過敏,涙の分泌の異常(低下あるいは亢進)を認めることがある.
 病態は顔面神経管内での顔面神経内の浮腫と,それに伴う虚血,さらに虚血による浮腫の増悪が悪循環を形成し,神経の脱髄と,さらに進行すれば軸索変性が生じる結果,顔面神経の伝導が障害され,顔面表情筋の麻痺が生じるものと考えられる.初めに浮腫が生じる原因としては,先行感染に伴うアレルギー性機序や寒冷曝露が挙げられているが定説はない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?