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文献詳細

雑誌文献

medicina32巻12号

1995年11月発行

文献概要

増刊号 Common Disease 200の治療戦略 呼吸器疾患

かぜ症候群(上気道炎)

著者: 大石和徳1

所属機関: 1長崎大学熱帯医学研究所内科

ページ範囲:P.277 - P.279

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疾患概念と病態
 かぜ症候群は,種々の病原によって起こる上気道の非特異性急性カタル性炎症の総称であり,鼻閉,鼻汁,咽頭発赤,発熱などを主徴とする最も頻度の高い急性呼吸器感染症である.かぜ症候群の臨床症状は病型間(普通感冒,非細菌性咽頭炎,インフルエンザ,急性気管支炎など)でも互いにオーバーラップするために多彩である.発症の誘因として,宿主の状態(疲労,飲酒,脱水,免疫不全など)や環境の変化(乾燥,寒冷など)などが知られている.
 かぜ症候群の病原体の80〜90%はウイルスであり,細菌性,マイコプラズマ,クラミジアなどがその他を占める.ウイルスではライノウイルス,インフルエンザウイルス,パラインフルエンザウイルス,RSウイルス,アデノウイルスなどがあげられる.これらの病原ウイルスの伝播は,患者の咳嗽・会話などにより空気伝染し,鼻粘膜や眼球結膜から体内へ侵入する.吸入ウイルス粒子は鼻咽頭を中心とした上気道から下気道に沈着する.こうしてウイルス感染による気道粘膜の急性炎症が惹起される.また,かぜ症候群に引き続いて二次性細菌感染を併発しやすくなる.この二次感染成立過程は以下のように説明される.ウイルスは気道上皮に親和性をもつが,感染により気道上皮を変性・脱落させ,気道クリアランスを著しく低下させる.この結果,気道親和性の病原性菌が容易に付着し,二次感染が成立する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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