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増刊号 Common Disease 200の治療戦略 呼吸器疾患
成人呼吸促迫症候群
著者: 赤柴恒人1
所属機関: 1日本大学医学部第1内科
ページ範囲:P.310 - P.312
文献購入ページに移動成人呼吸促迫症候群(adult respiratory distress syndrome:ARDS)は,Petty & Ashbaugh1)により1967年に提唱された疾患概念で,新生児のIRDSに相対する意味で,成人の重篤な急性呼吸不全例に対し命名されたものである.その基本的病態生理は非心原性の透過型肺水腫であり,種々の生体に対する侵襲の結果惹起される,しかし,その後の膨大な基礎的,臨床的研究にもかかわらず,本症の原因,病態,治療に関して絶対的なコンセンサスが得られていないのが実状である.そのため,1994年に米国と欧州の呼吸器病学会が合同でカンファランスレポート2)を発表しており,現時点での最良のコンセンサスと思われるので,本稿ではそれを中心に述べる.
ARDSは必ずしも成人に限らないため,従来の“adult”を“acute”に変更する.ARDSの原因となる生体への侵襲(リスクファクター)は,表1に示すように,直接的な侵襲と間接的な侵襲があり,これらはいずれもARDSの原因となり得るが,なかでも頻度が高く,かつ治療が困難なのはsepsis syndromeによるものである.
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