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文献詳細

雑誌文献

medicina32巻12号

1995年11月発行

増刊号 Common Disease 200の治療戦略

呼吸器疾患

肺性心

著者: 西村正治1

所属機関: 1北海道大学医学部第1内科

ページ範囲:P.322 - P.324

文献概要

疾患概念と病態
 肺性心とは「一次的に肺・肺血管または肺のガス交換を障害し肺高血圧を惹起する疾患によって生じた右室拡大(右室拡張および右室肥大)あるいは右室不全」とNYHA(New York Heart Association)により定義されている.病理学的所見に基づいた基準であるため,臨床的には肺高血圧症に右室の拡大をもって肺性心と診断する.肺性心は臨床経過より,①急性肺性心:急性肺血栓塞栓症などに伴うもの,②亜急性肺性心:悪性腫瘍の血行性肺転移など数カ月の経過で症状を呈するもの,③慢性肺性心:慢性肺疾患に伴うもの,と3型に分類されるが,通常は③の慢性肺性心をさすことが多い.
 肺性心の成立に関わる肺高血圧は,器質的な要因と機能的な要因の両者によって招来される.前者は肺気腫や肺塞栓症でみられる肺血管床の破壊・減少であり,後者は低酸素性肺血管攣縮が主体である.心拍出量の増加,多血症による血液粘性の上昇,高炭酸ガス血症はいずれも肺高血圧をさらに強めるように働く.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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