icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina32巻12号

1995年11月発行

文献概要

“ホッ”とspot

小柴胡湯による偽性アルドステロン症

著者: 加藤明彦1

所属機関: 1浜松医科大学第1内科

ページ範囲:P.369 - P.369

文献購入ページに移動
 低カリウム(K)血症は臨床上,比較的よく遭遇する電解質異常であり,薬剤,特に甘草が原因になっていることも少なくない.
 高血圧を有する62歳の男性が,全身の脱力感,歩行困難を訴え入院した.入院時,振戦および遠位筋優位の筋力低下がみられ,血清Kは1.7mEq/1と低下し,CPK 20,065IU/1と著増していた.多尿(2,800ml/日)であり,尿中K排泄は50mEq/日と増加していた.血漿レニン活性0.1ng/ml/h,血漿アルドステロン10pg/ml以下と抑制され,代謝性アルカローシスを伴っていたことより,薬剤によるミネラルコルチコイド過剰が疑われた.慢性C型肝炎に対し,約1年前から小柴胡湯7.5g/日を内服していたことが判明し,薬剤の中止およびK補給により血清K値は1週間後に正常化した.本例は小柴胡湯による偽性アルドステロン症と診断した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?