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文献詳細

雑誌文献

medicina32巻12号

1995年11月発行

増刊号 Common Disease 200の治療戦略

精神疾患

せん妄

著者: 広田伊蘇夫1

所属機関: 1同愛記念病院神経科

ページ範囲:P.554 - P.555

文献概要

疾患概念と病態
 1.疾患概念と症状
 WHOの国際疾患分類(1992年)によれば,せん妄とは「病因論的には非特異的な症状であり,その特徴は意識・注意力・認識・記憶・精神運動性行動・情動・および睡眠覚醒サイクルの障害が共存する点にある.どの年齢でも発現するが,60歳以後が最も多い.せん妄状態は一過性であり,症状の激しさも変動するが,ほとんどの場合,4週間かそれ以内に回復する.しかし,変動しつつも,半年以上にわたって続くせん妄も稀ではない.この経過は,特に慢性肝障害,悪性腫瘍,あるいは亜急性の細菌性心内膜炎のときにみられる.せん妄状態は痴呆に重なって出現することもあれば,痴呆に移行することもある」とする病態である.WHOのこの症状記述は公式論的にすぎるが,私見を記せば,「変動する軽度の意識混濁に,強い不安・恐怖を伴う精神運動性多動,思考の混乱,幻覚,失見当識などが出現し,精神活動の平常性は失われ,睡眠覚醒リズムの崩壊を伴いつつ,症状の夜間増悪を特徴とする状態」とみる程度が,日常診療上は妥当である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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