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文献詳細

雑誌文献

medicina32巻12号

1995年11月発行

文献概要

増刊号 Common Disease 200の治療戦略 皮膚疾患

疥癬

著者: 立花隆夫1

所属機関: 1京都大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.612 - P.613

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疾患概念と病態
 本症は疥癬虫(ヒゼンダニ)がヒト皮膚の角層内に寄生して発症する皮膚疾患であり,ヒトからヒトに約1カ月の潜伏期間を経て感染する.その経路には,ヒトの皮膚から皮膚への直接接触による感染と,雑魚寝もしくは衣服や寝具を介しての感染がある.
 本症の臨床像は,臍周囲などにみられる紅色小丘疹(孤立性丘疹の集合であって融合しない),腋窩,外陰部などに認められる褐色調の小結節,および手掌,指間などに好発する疥癬トンネルの3種類からなり,夜間に増強する掻痒が特徴的である.小丘疹は虫体の排泄物,脱皮などに対するアレルギー反応であって,ここから虫体を検出することはきわめて稀なため,雌成虫が角層内に産卵することにより生じた後2者の皮疹(幼虫や雄成虫は皮表をうろつくだけ)から虫体や卵などを検出することによって診断を確定する(皮表をピンセットで出血するまでこそぐか,ハサミで切除し鏡検するのがコツ).疥癬虫の寿命は数カ月(雄:約1カ月,雌:約2カ月)とされるが,皮表から離れ温度や湿度が下がると動きが鈍くなり数日で死滅する.また,加熱にも弱く50℃では10分間で死滅する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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