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図解・病態のメカニズム—分子レベルからみた神経疾患・4
酸化的ストレスによる神経変性?—家族性筋萎縮性側索硬化症
著者: 中野亮一1
所属機関: 1新潟大学脳研究所神経内科
ページ範囲:P.2559 - P.2563
文献購入ページに移動 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)は上位運動ニューロン(大脳運動野のBetz巨細胞と錐体路)と下位運動ニューロン(脊髄前角細胞と下部脳幹運動性脳神経核)が選択的かつ系統的に障害される代表的な神経変性疾患である.有病率は人口10万人当たり2〜6人で,主に40〜50歳台に発症する.臨床症状は下位運動ニューロンの変性による著明な四肢,体幹の筋萎縮,筋力低下,筋線維束攣縮や球麻痺症状(嚥下障害,構音障害など)を認め,また上位運動ニューロンの変性による四肢の痙性麻痺,深部腱反射亢進,Babinski徴候,仮性球麻痺症状なども出現する.これらの症状が常に進行性に悪化し,寛解を示すことはない.経過は個々の症例により異なるが,短い例では数カ月,平均2〜5年で全身の著しい筋萎縮と呼吸不全をきたす.末期には呼吸不全や呼吸器感染症により死亡する.ALSは一般には遺伝歴はなく,孤発性の疾患であるが,5〜10%程度が家族性に発症することが知られており,家族性筋萎縮性側索硬化症(familial amytorophic lateral sclerosis:FALS)と呼ばれている1).FALSは臨床的,病理学的に孤発性ALSによく類似しているが,感覚障害など孤発性ALSには一般に認められない症状を伴うことがあり,病理学的にも後索などの変性を認めることが多い.
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