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医道そぞろ歩き—医学史の視点から・2
たといわが命死ぬとも道ひらかん
著者: 二宮陸雄1
所属機関: 1二宮内科
ページ範囲:P.1042 - P.1043
文献購入ページに移動イギリスのジェンナーが牛痘種痘による痘そう(天然痘)の予防に成功したのは1796年(寛政8年)です.天然痘はこの種痘のおかげで今は絶滅していますが,当時は恐るべき猛威をふるい,流行時には江戸で1万人も死ぬほどで,人びとは村のはずれに赤い布を結んだ竿を立て,赤で描いた武者絵を壁に貼って,病魔が入ってこないことを祈りました.天然痘の病魔は赤い色を嫌うと信じられていたからです.発疹が赤い光のもとで見えやすいからでしょう.
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