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文献詳細

雑誌文献

medicina32巻7号

1995年07月発行

文献概要

医道そぞろ歩き—医学史の視点から・4

苦しんでいる人間性への配慮

著者: 二宮陸雄1

所属機関: 1二宮内科

ページ範囲:P.1446 - P.1447

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 フランスの医師ピネルが精神病者を鎖から解放したのは,今からちょうど200年前のことです.そのころ日本では,杉田玄白らが「解体新書」を出版していました.
 パリのノートルダム寺院から東に少し車を走らせると,サルペトリエール病院があります.この病院はもとはルイ十三世の建てた弾薬のための硝石(サルペトル)の製造所でした.1656年以来,ルイ十四世の命により浮浪者や貧民を収容する巨大施設となり,精神病者も加えて,そのころ6,000人もの人を収容していました.パリにはもう一つビセートル救済院があって,犯罪者や精神病者を収容していました.2つの救済院で毎年400人くらいの精神病者が新たに収容されていたのですが,彼らは鎖でつながれ,拘束衣でしぼられ,暗い部屋や狭い檻に閉じこめられ,回転装置で沈静させられ,痙攣する者は棒でなぐられていたのです.医者でなく獄卒が監理し,「ケダモノども」と呼んでいました.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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