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文献詳細

雑誌文献

medicina32巻8号

1995年08月発行

文献概要

医道そぞろ歩き—医学史の視点から・5

ガイ病院のブライトと腎炎

著者: 二宮陸雄1

所属機関: 1二宮内科

ページ範囲:P.1652 - P.1653

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 ロンドンのガイ病院は1725年に400床の病院として創立されました.この病院ではロスがイギリスで最初の心臓移植手術を行い,名声が高いのですが,1820年から1850年代にかけて,ガイ病院にはブライト,ポジキン,アジソンの3人の傑出した医師がいて,臨床医学の進歩に貢献しました.
 ガイ病院が創立されたのは,ロンドンの本屋で出版もしていたトーマス・ガイが死んだ1年後のことです.当時イギリスでは,聖書の出版で儲けることは禁じられていました.そこでガイはオランダで出版された聖書を輸入して儲けたり,ほかの出版で成功したり,株の売買で莫大な利益を得たりしました.こうして富を蓄えたガイはロンドン橋に近いセント・トーマス病院の理事の一人として働きました.この病院は後に1864年に鉄道の駅をつくるために取り壊されてしまいましたが,ガイの時代にはセント・バーソロミュー病院と並ぶ古い伝統のある病院でした.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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