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文献詳細

雑誌文献

medicina32巻9号

1995年09月発行

文献概要

医道そぞろ歩き—医学史の視点から・6

ガイ病院のアジソンと副腎

著者: 二宮陸雄1

所属機関: 1二宮内科

ページ範囲:P.1876 - P.1877

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 腎炎を発見したブライトと同じ頃,ガイ病院にはアジソン病で有名なトーマス・アジソン(1793-1860)もいました.やはりエジンバラ大学の出で,始めは性病に関心があり,皮膚病学を志し,黄色腫症を初めて記載した人ですが,やがて多年にわたる研究の末,副腎の病気について報告して不朽の貢献をしました.しかし,生存中はその論文のいくつかは医学界から拒絶されました.
 トーマス・アジソンは1793年,モーツァルトの没後2年,日本では松平定信が老中の頃に生まれました.たいへんラテン語に達者で,のちに医学校の講義のノートもラテン語で書いたそうです.エジンバラ大学を出るときの論文は梅毒に関するものでした.23歳でロンドンのロック病院で診療を始めたのですが,梅毒など皮膚病学への関心を生涯もち続けました.ガイが参与していたセント・トーマス病院には,英国で始めての梅毒患者の病棟がありましたが,ロック病院でも梅毒患者を治療しました.もともとのロック病院は12世紀頃からロンドンのサウスワークにあり,1549年にセント・バーソロミュー病院に併合されていました.18世紀にイギリスではハンセン病がなくなったので,代わりに性病患者を治療していたのです.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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