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雑誌目次

雑誌文献

medicina33巻1号

1996年01月発行

雑誌目次

今月の主題 抗生物質をどう使うか

理解のための43題

ページ範囲:P.143 - P.151

抗生物質の投与に当たって

発熱から感染症をどう決めるか

著者: 北原光夫

ページ範囲:P.6 - P.7

ポイント
●発熱症例をみた時点で最も重要なことは,現病歴と身体所見の丁寧な把握である.
●ウイルス感染症では,一般に患者の全身状態が良好である.薬剤熱の場合も同様に全身状態がよい.
●発熱症例に抗生物質を投与する場合には,必ず培養を行う.
●細菌感染では,患者の全身状態が悪いのが一般的である.

抗生物質投与前に何を行うか

著者: 西谷肇

ページ範囲:P.8 - P.9

ポイント
●抗生物質の正しい使用には投与前の培養検体採取と,その検体のグラム染色による迅速診断が重要である.
●グラム染色は臨床医必修の技術である.
●グラム染色で肺炎球菌,髄膜炎菌,モラキセラ・カタラーリス,インフルエンザ菌,ブドウ球菌が同定可能である.
●血液培養は最低2回,できれば3回行う.
●血液培養は悪寒・戦慄・高熱など敗血症が疑われる場合,低体温・頻脈・頻呼吸など敗血症性ショックが疑われる場合,肺炎など原発病巣を持つ感染症の場合,免疫反応の低下している者・腎不全患者・老人で意識状態や全身症状が悪化した場合,入院時重症例に対して行う.

抗生物質の有効性は何を根拠に判定するか

著者: 喜舎場朝和

ページ範囲:P.10 - P.12

ポイント
●臨床的および検査的指標をフォローすることによる判定:臨床的指標の中には,全身的指標として発熱など,局所的指標として例えば肺炎の場合の咳,痰などがある.一方,検査的指標の中には,全身的指標として白血球数,CRP,赤沈,局所的指標として例えば肺炎の場合の胸部X線などがある.
●診断と治療の適切さによる理屈としての有効性の判定:適切さのランクが高くなれば有効性は高まり,ランクが低くなれば有効性の信頼度は落ちる.有効性が疑わしい場合,ランクづけからその原因をある程度類推できる.

抗生物質の併用はどんなときに行うか

著者: 高橋幸則

ページ範囲:P.14 - P.15

ポイント
●原因菌が確定している場合:緑膿菌,腸球菌,結核菌,クリプトコッカス.
●原因菌が不明の場合:重症感染症,混合感染症.
●例えばβ-ラクタム剤+アミノ配糖体のように,相乗作用のある組み合わせを用いる.

抗生物質の中止は何を基準に決めるか

著者: 大石和徳

ページ範囲:P.16 - P.17

ポイント
●抗菌化学療法効果は起炎菌の消長,発熱を含む臨床症状の改善,血液炎症所見(末梢血白血球数,CRP値,血沈値)の改善を指標に判定する.
●抗菌化学療法の完了時期は疾患により異なる.十分な治療期間が必要な一方で,無用な治療継続を控えることも肝要である.
●抗菌化学療法開始72時間以内に,発熱を含む臨床症状の改善がみられない場合は無効と判断し,速やかな薬剤の変更が必要である.

エンピリック・セラピーを開始する際には何を使うか

著者: 西信一

ページ範囲:P.18 - P.20

ポイント
●エンピリック・セラピーとは統計,経験に基づいた初期選択治療である.
●腹膜炎のエンピリック・セラピーでは,CEZ(cefazolin sodium)+PIPC(piperacillinsodium),CMZ(cefmetazole sodium)+PIPC,FMOX(flomoxef sodium)が考えられる.
●肺炎のエンピリック・セラピーではアミノ配糖体とCMZの併用が考えられる.
●髄膜炎のエンピリック・セラピーではPIPCと第二世代セフェムの併用が考えられる.
●顆粒球減少症患者の感染のエンピリック・セラピーではcipfroxacinの単剤あるいは併用療法が考えられる.

抗生物質の予防投与はどんなときに行うか

著者: 青木眞

ページ範囲:P.22 - P.24

ポイント
●本来,抗菌薬は既に存在する感染症の治療に用いるべきであり,例外を除き,予防的に用いられるべきではない.
●例外的な予防投与も,統計的に効果が証明されているものに限るべきであり,単なる感染症発生に対する恐れや抗菌薬の効果に対する盲目的な期待によって用いられるべきではない.
●予防投与が有効な臨床状況は何と何かを具体的に学ぶことが重要である.
●術後,何日間にもわたる抗菌薬の投与により術後感染症の発生頻度を低下させ得たというデータはほとんどなく,かえって耐性菌出現の温床となる.

抗生物質投与中の副作用とその対応

著者: 高野愼

ページ範囲:P.25 - P.27

ポイント
●抗生物質使用中は常に副作用の出現を念頭に置いて治療に当たるべきである.
●抗生物質投与中の発熱に対しては,薬剤熱のほか,菌交代症も考慮する.
●アミノグリコシド剤による腎障害の頻度は,腎不全の既往,高年齢,菌血症,脱水などの身体的状況で増加するので,使用量,使用期間に注意が必要である.また聴力障害は進行性であり,早期発見のうえ薬剤を中止しなければならない.
●出血しやすい病態の患者にセフェム剤を投与するときは,MTT(N-メチルテトラゾリルチオメチル)側鎖を持たない薬剤を選択する.

抗生物質の正しい使い方

ペニシリン合剤はどう使うべきか

著者: 和田光一

ページ範囲:P.29 - P.30

ポイント
●ペニシリン合剤は,呼吸器感染症の一次感染に主として使用される.
●ペニシリン合剤は,ペニシリン薬に比し,グラム陰性菌に対する抗菌力が良好である.
●緑膿菌,セラチア,エンテロバクターなどに対する抗菌力は弱く,尿路感染症,長期間経過した感染症には不適当である.

セフェム系抗生物質の正しい投与方法はどうあるべきか—第一世代セフェム

著者: 長井苑子 ,   木邑道夫 ,   泉孝英

ページ範囲:P.33 - P.35

ポイント
●第一世代セフェム系,また抗生物質は,1960年代に汎用されたペニシリン系薬剤に対するブドウ球菌の耐性化,アナフィラキシー様反応のような副作用が問題となり,このような欠点を補うために開発された薬剤である.
●グラム陽性球菌とグラム陰性菌のうち,大腸菌,プロテウス・ミラビルスに有効な薬剤であるが,腸球菌,緑膿菌には無効である.
●副作用は少ないが,髄液への移行が不良という欠点がある.
●手術時の感染防止を中心に適応対象は今なお少なくない薬剤である.
●第二,第三世代に比較して1/3〜1/2の廉価である.

セフェム系抗生物質の正しい投与方法はどうあるべきか—第二世代セフェム

著者: 渡辺邦友

ページ範囲:P.37 - P.39

ポイント
●第二世代セフェムは,注射用セファロスポリン,経口用セファロスポリンおよびセファマイシンに分類できる.経口用セファロスポリンは,注射用のそれのプロドラッグである.
●第二世代注射用セファロスポリンは,第一世代よりグラム陰性桿菌に対する抗菌力が増強し,陽性球菌に対する抗菌力は同程度かやや減弱した.また,インフルエンザ菌にスペクトラムが拡大した.
●第二世代セファロスポリンは,口腔内嫌気性桿菌(プレボテラなど)には強いが,下部消化管の桿菌(バクテロイデス)には弱いので,横隔膜より下方の複数菌感染症に対してはセファマイシンを考えよう.

セフェム系抗生物質の正しい投与方法はどうあるべきか—第三世代セフェム

著者: 北原光夫

ページ範囲:P.40 - P.41

ポイント
●第三世代セフェムは細菌性髄膜炎において,原因菌が不明のときに第一選択となる.
●院内感染肺炎には第三世代セフェムをまず投与する.
●好中球減少例の発熱の場合には第三世代セフェムとアミノ配糖体抗生物質を投与する.
●第四世代セフェムは主として院内感染症に使用する.

イミペネムはどんなときに役立つか

著者: 舟田久 ,   中尾真二

ページ範囲:P.43 - P.45

ポイント
●重篤な基礎疾患に合併する多剤耐性の緑膿菌やエンテロバクターなどによる重症感染,特に敗血症が最もよい適応である.
●混合感染,特にβ-ラクタマーゼ産生バクテロイデスを含む感染も適応となる.
●β-ラクタマーゼ誘導能が高いために,病院株としての耐性菌の選択が起こりにくい.
●PAE(postantibiotic effect)を示すので,間欠投与が可能である.
●高度の顆粒球減少例の感染治療には単独よりもアミノ配糖体薬との併用が勧められる.
●高用量投与は中枢神経系疾患やその既往のある患者に痙攣を誘発しやすい.

モノバクタムの使いどころはどこにあるか

著者: 河野修興

ページ範囲:P.47 - P.49

ポイント
●モノバクタムは好気性グラム陰性菌に対してのみ有効である.
●基本的に,起炎菌が不明な時点では,単剤では第1選択薬にならない.第2選択薬として期待できる.
●グラム陽性菌・嫌気性菌に抗菌スペクトラムを有する他剤との併用は極めて広い抗菌スペクトラムを持ち,強い効果が期待できる.
●白血球減少患者に対する経口投与(保険では承認されていないが)は,腸管内のグラム陰性桿菌のみを消失させ,続発する敗血症などの全身性日和見感染症予防に有効である.

アミノ配糖体抗生物質をどう併用するか

著者: 岡田薫

ページ範囲:P.50 - P.52

ポイント
●アミノ配糖体系抗生物質は,抗菌作用,薬動力学,副作用の面など各薬剤間で共通点が多い.
●すべてのアミノ配糖体系抗生物質はPAEを有している.
●白血球数と機能が保持されていれば,1日1回投与法は理にかなった手段である.
●単独投与よりも,重症感染症での併用が一般的である.併用薬としては,β-ラクタム剤やカルバペネム系が最も多い.
●MRSA感染症に対するABK(arbekacin sulfate)の併用療法では,ABKの先行投与が良いとされている.
●長期連用を避け,血中濃度モニタリングで安全性と有用性を確認することが望ましい.

バンコマイシンをどう使うか

著者: 影山慎一 ,   南信行

ページ範囲:P.54 - P.55

ポイント
●MRSA感染症(MRSA腸炎を含む),偽膜性腸炎に特異的な薬剤で,骨髄移植時の消化管内殺菌剤としても用いられる.
●MRSA感染の診断は厳密にする必要がある.MRSAが起炎菌であることと常在菌のcolonizationの検出菌とは区別しなければならない.
●腸管より非吸収性の薬剤である.
●副作用は急速静注時のred neck症候群,腎障害,聴神経障害が主なものである.
●副作用防止のため血中濃度モニタリングを実施する必要がある.

ニューキノロン薬は万能の抗菌剤か

著者: 杉本勇二 ,   松本行雄

ページ範囲:P.56 - P.57

ポイント
●ニューキノロン薬は9剤が市販され,主に中等症以下に使用されるが,抗菌力,体内動態,副作用など違いがみられる.
●緑膿菌,MRSAには耐性化がみられる.
●肺炎球菌に対する抗菌力に差があり,抗菌力の優れたものではペニシリン耐性肺炎球菌を含め有効である.
●マイコプラズマ,クラミジア,レジオネラに対して,有用なものがある.
●光線過敏症や非ステロイド系消炎鎮痛剤との相互作用など副作用に注意が必要である.

マクロライド系薬剤の適応疾患は何か

著者: 三笠桂一 ,   澤木政好 ,   古西満 ,   前田光一 ,   成田亘啓

ページ範囲:P.59 - P.62

ポイント
●マクロライド薬は急性感染症ではMycoplasmaやChlamydiaなどのβ-ラクタム系抗菌薬に無効の感染症に有効である.
●慢性感染症ではびまん性汎細気管支炎を中心とするPseudomonas aeruginosaやHaemophilus influenzaeが持続感染した難治性慢性下気道感染症に対し,その長期投与が有効である.
●マクロライド薬の抗菌薬以外の新作用が注目され,種々の検討が行われている.

ST合剤の役割は何か

著者: 近藤信一

ページ範囲:P.63 - P.65

ポイント
●ST合剤にはスルファメトキサゾールとトリメトプリムが含まれる.本剤は組織移行性がよく,大半が尿中に排泄される.
●本剤はグラム陽性菌,グラム陰性菌を広くカバーするが,緑膿菌,嫌気性菌には無効である.主として尿路感染症,呼吸器感染症に使用されるが,他の抗菌剤が無効であるか,使用できないときに二次的に選択する.
●Pneumocystis carinii肺炎の予防および治療に広く用いられている.
●顆粒球減少症,肝障害などの重篤な副作用が報告されており,使用に当たっては症状や検査値の注意深いモニターが必要である.

アムホテリシンBの抗真菌剤としての立場は何か

著者: 小島博嗣 ,   岡本昌隆 ,   平野正美

ページ範囲:P.67 - P.69

ポイント
●アムホテリシンB(AMPH)は抗真菌剤として中心的薬剤であり,経口投与では消化管内真菌症に,経静脈投与では中枢神経系を除く深在性真菌症に有効である.
●AMPH投与時には悪寒・戦慄,発熱,腎障害,電解質異常に注意し,あらかじめ適切な処置を講ずることが必要である.

ジフルカン®とイトリゾール®をどう使い分けるか

著者: 二木芳人

ページ範囲:P.70 - P.72

ポイント
●いずれもトリアゾール系抗真菌薬として,広域の静真菌的活性を有し,安全性は優れている.
●FLCZ(fluconazole)はbioavailabilityに優れ,良好な吸収性,高い血中濃度,優れた組織移行性が特徴であり,経口・注射両剤型で使用可能である.
●ITCZ(itraconazole)はアスペルギルス属に優れた活性,皮膚真菌症にも適応を有する.
●カンジダ・クリプトコッカス感染症ではFLCZ,肺を中心にしたアスペルギルス感染症ではITCZが第一選択である.

ゾビラックス®はどんなウイルスに有効か

著者: 須磨崎亮

ページ範囲:P.74 - P.76

ポイント
●ゾビラックス®(アシクロビル)は単純ヘルペスウイルス(HSV)と水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症に有効である.成人薬用量で比較すると,HSV感染症では200mgを1日5回,VZV感染症では800mgを同じく5回内服する.
●ゾビラックスはヘルペス感染症の病初期から投与されると,優れた治療効果を発揮する.投与期間は通常1〜2週間である.
●ヘルペス感染症の回帰発症を予防するためには,ゾビラックスの継続投与が必要である.
●ゾビラックスは比較的安全な薬剤であるが,副作用として腎機能障害と中枢神経障害が報告されている.腎機能障害者や老人は副作用をきたしやすいので注意が必要である.

レトロビル®の適応と投与方法をどう決めるか

著者: 谷憲三朗

ページ範囲:P.77 - P.81

ポイント
●レトロビル®は抗ヒト免疫不全ウイルス(HIV)剤である.本剤の適応には,HIV感染関連の免疫抑制状態の患者で,CD4細胞数が500/mm3以下の場合が挙げられている.
●HIV感染成人ならびに小児を対象とした臨床試験結果から,本剤の副作用としては,頭痛,倦怠感,食欲低下,悪心,嘔吐などとともに貧血,顆粒球減少などの骨髄抑制が最も頻度の高い検査異常所見として認められた.したがって投与量は,これらの異常所見をみながら調節していく必要性がある.
●進行期HIV患者に対しては本剤の単剤投与を続けるよりも,無効の場合は他剤による治療に早目に切り替えることが望ましいようである.

感染症への具体的対応

細菌性髄膜炎に第三世代セフェムをどう投与するか,また副腎皮質ホルモンは投与するか

著者: 大石実

ページ範囲:P.83 - P.85

ポイント
●細菌性髄膜炎ではグラム染色が重要であり,その結果により最も適した抗生物質を選ぶ.
●菌不明の場合は,幼児,小児,成人では第三世代セフェム(セフォタキシム,セフトリアキソン,セフタジジム)を単剤で用いる.
●年齢6週以上の乳幼児,小児で細菌性髄膜炎と考えられた場合,抗生物質投与開始直前か,同時にデキサメタゾン療法を開始する.
●抗生物質静注または筋注を開始後12〜24時間以上たってから,デキサメタゾン療法を開始しても意味がない.

若年者の肺炎の治療には何を選択するか

著者: 小場弘之 ,   斉藤司 ,   吉田和浩

ページ範囲:P.86 - P.88

ポイント
●若年者の肺炎の主要起炎病原体は,肺炎球菌,マイコプラズマ,ウイルスであり,高齢者の肺炎と比較して非細菌性肺炎の頻度が高い.
●若年者の肺炎の多くは軽症から中等症で,外来での経口抗生剤による治療が可能なことが多い.
●初期治療における抗生剤の選択は,細菌性肺炎を疑う場合にはペニシリン剤またはセフェム剤を,非細菌性肺炎を疑う場合にはマクロライド剤またはテトラサイクリン剤を選択する.
●鑑別が困難な肺炎に対しては,マクロライド剤またはニューキノロン剤を選択する.
●若年者における重症肺炎では,重大な全身性基礎疾患が隠れていることが考えられ,背景因子に十分な注意を払うことが必要である.

高齢者の肺炎の治療には何を選択するか

著者: 森健

ページ範囲:P.90 - P.92

ポイント
●高齢者肺炎は,若年者〜壮年者におけるよりもはるかに高頻度に見られ,しかも重篤となりやすく,予後不良になることが多い.それは各種の基礎疾患や,加齢とともに低下する生体防御機構などに起因するほか,臨床的には典型的な症状を呈しないために,見逃されて治療開始が遅れることなどによる.
●起因菌としては,院外(市中)感染例ではStreptococcus Pneumoniae,Staphylococcusaureus,Haemophilus influenzaeなどが,また院内感染例ではS. aureus,Pseudomonasaeruginosaやその他のグラム陰性桿菌によるものが多い.したがって,院外感染例ではペニシリン系薬剤,院内感染例ではセフェム系薬剤の投与を考慮すべきである.

院内感染の診断と治療はどう行うか

著者: 徳江豊 ,   渡辺彰

ページ範囲:P.93 - P.95

ポイント
●院内感染とは「病院内で播種された微生物による感染」である.
●院内感染の診断は臨床細菌学的知識とともに菌の検出・同定を行う細菌検査室の役割も重要である.
●院内感染のサーベイランスが重要であり,細菌の検出状況や年次推移の調査解析,薬剤感受性成績パターンの解析を組織的に行い,データを集積しておく必要がある.
●病院内での抗菌剤の使い方が院内感染の種類と重症度に大きくかかわっている.
●抗菌剤の作用機序と耐性機序を理解することが,より適切な抗菌剤の使用と耐性菌出現の予防に通ずる.

急性細菌性腸炎の治療はどう行うか

著者: 吉田博 ,   山脇眞 ,   辻雄一郎

ページ範囲:P.96 - P.98

ポイント
●急性細菌性腸炎は法定伝染病が減少し,近年,サルモネラ菌,病原大腸菌,腸炎ビブリオによる腸炎が多い.一方,カンピロバクター,非O1コレラ菌,エアロモナスなども新しい原因菌として注目されている.
●細菌性腸炎の治療は,腹痛,下痢,発熱,脱水などに対する治療を行い,必要な場合に限り抗菌剤や抗生物質を投与する.
●ニューキノロン系の抗菌剤やホスホマイシンが細菌性腸炎の治療に使用され好成績を上げている.原因菌不明の場合は,重症度や疫学的事項を参考に薬剤を選択する.

偽膜性大腸炎の早期診断と治療をどう行うか

著者: 中原朗 ,   樫村博正 ,   福富久之

ページ範囲:P.100 - P.101

ポイント
●偽膜性大腸炎(pseudomembranous colitis)は薬剤起因性腸炎(antibiotic associatedcolitis)の一つであり,治療目的で投与された抗菌剤の副作用として発生する.
●薬剤起因性大腸炎には,偽膜性大腸炎のほかに出血性腸炎,MRSA腸炎,Candida腸炎がある.
●偽膜性大腸炎は,Clostridium difficileの増殖とその毒素が関与していることから,C.difficile colitisとも呼ばれている.
●偽膜性大腸炎は,結腸にわずかに隆起した黄白色の境界明瞭な偽膜(白苔)が観察されることからその名称がある.
●偽膜性大腸炎の治療は,原因薬剤の中止とvancomycin投与により行われる.

敗血症にどう対応するか

著者: 国元文生

ページ範囲:P.102 - P.104

ポイント
●敗血症は感染巣から細菌や真菌などの病原微生物およびその産生毒素が血液中に流入すすることにより引き起こされる重篤な全身性反応である.
●主症状はショック,ARDS(adult respiratory distress syndrome;成人呼吸窮迫症候群),DIC(disseminated intravascular coagulation:播種性血管内凝固異常)および急性腎不全である.
●全身性炎症反応の持続により多臓器不全(multiorgan failure:MOF)が進行する.
●原因菌として頻度の高いのは緑膿菌,腸内細菌およびブドウ球菌であり,広域抗生物質であるペニシリン,セフェム,あるいはカルバペネム系抗生物質を静注使用する.
●最近,エンドトキシン除去用ポリミキシンB固定化繊維充填カラムによる血液吸着療法が行われている.

好中球減少時の発熱に対して抗生物質をどう選択・投与すべきか

著者: 長山人三 ,   浅野茂隆

ページ範囲:P.106 - P.108

ポイント
●好中球減少時の発熱は治療が遅れると致死的な敗血症に進展するので,培養の結果を待たずにempiric therapyを開始する.
●選択する抗生剤は緑膿菌をはじめとするグラム陰性桿菌を念頭に入れ,広域スペクトルの抗生剤を選択する.
●殺菌的作用を持つ抗生剤を原則とし,最大投与量を最も効果的な投与法で投与する.

尿路感染症をどう治療するか

著者: 村中幸二

ページ範囲:P.109 - P.111

ポイント
●尿路感染症は,基礎疾患のない単純性尿路感染症と,基礎疾患を有する複雑性尿路感染症に大別して把握する.
●単純性尿路感染症では単独菌感染が多く,原因菌としてはEscherichia coliが80%以上を占めるが,複雑性尿路感染症では複数菌感染が多く,原因菌としてSerratia,Pseudomonas aeruginosa,NF-GNR(glucose nonfermenting gram-negative rod),Enterococcus faecalisが多く認められる.
●尿路感染症の治療薬としては原因菌に対して強い抗菌力を持ち,尿中濃度が高く,副作用の少ない化学療法剤が選択される.
●複雑性尿路感染症は化学療法剤のみでの完治は困難であり,基礎疾患に対する対処が重要である.

糖尿病性壊疽の対策はどうあるべきか

著者: 細川和広 ,   渥美義仁

ページ範囲:P.112 - P.113

ポイント
●積極的に切開排膿,debridementを行うこと.
●菌種が同定できるまでは,好気性,嫌気性菌の混合感染を予想した抗生物質の選択を行う.
●骨髄炎の合併,高度の虚血の場合は,速やかに外科に相談すること.
●虚血性心疾患の合併に注意すること.

腎機能障害がある場合の感染症への対策をどう行うか

著者: 岡田知也 ,   中尾俊之

ページ範囲:P.115 - P.117

ポイント
●原疾患の管理や栄養管理を十分に行い,易感染性状態をコントロールする.
●腎排泄性の抗生物質を投与する場合,腎機能障害の程度に応じた投与法の調整が重要である.
●抗生物質投与前の腎機能評価には,血清クレアチニン値のみならずクレアチニンクリアランスの測定が望ましい.
●腎機能障害を伴う患者にアミノグリコシドの投与はできるだけ控える(ただし,無尿の透析患者では可).

妊娠時の感染症への対策をどう行うか

著者: 工藤美樹

ページ範囲:P.118 - P.119

ポイント
●妊娠時の薬物療法は母児の安全性を考慮しつつ,以下の原則に従い,慎重に対処しなければならない.
1)危険性の少ない薬剤を選択する.
2)妊娠初期のいわゆる臨界期(critical period)を避ける.
3)必要最小限の投与量,投与期間で行う.

最近話題の感染症

MRSA感染症に併用療法は有効なのか

著者: 青木泰子

ページ範囲:P.121 - P.123

ポイント
●MRSA感染症に対する第一選択薬は耐性株の認められないvancomycinである.
●vancomycinはグラム陰性菌や嫌気性菌には抗菌力がなく,免疫不全例に合併した感染症で起因菌が確定できない場合や,混合感染が疑われる場合は,抗菌スペクトラムを広げる併用が必要となる.
●vancomycinにβ-ラクタム薬を併用すると,in vitroでの殺菌効果の増強が認められるが,これが臨床効果の改善に結び付くかどうかは現在のところ不明である.
●併用による副作用も考慮すべきである.

MRSA保菌者の入院中・入院後の対策と説明をどう行うか

著者: 遠藤和郎

ページ範囲:P.124 - P.125

ポイント
●感染経路としては,医療従事者の手を介した接触感染が最も多い.
●MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の発生状況を把握し対策の有用性を評価するために,まずサーベイランスを行う.
●対策は迅速かつ継続性を必要とし,また経済性を考慮する.
●患者・家族への説明は,各々の病状,社会的背景,精神状態,理解度に合わせて繰り返し丁寧に行う.

劇症レンサ球菌感染症にどう対処するか

著者: 山下直哉

ページ範囲:P.127 - P.129

ポイント
●近年,A群レンサ球菌感染症は軽症化し,非感染性続発症のリウマチ熱も減少したといわれていたが,1980年代に入り死亡率が高い劇症レンサ球菌感染症の出現とリウマチ熱再増加の傾向がある.
●劇症レンサ球菌感染症はブドウ球菌性トキシックショック症候群に似て,ショックと多臓器障害を特徴とするが,軟部組織感染症を伴う頻度が高い点が異なる.
●劇症レンサ球菌感染症の治療は全身管理・抗生物質治療・外科的処置の3本の柱からなる.
●起炎菌の同定には血液培養・膿培養が必須である.膿のグラム染色で迅速に重要な情報を得て治療方針を決定できることが少なくない.

Helicobacter pylori感染にどう対処するか

著者: 井本一郎

ページ範囲:P.130 - P.131

ポイント
●胃・十二指腸病変の発生にHelicobacter(H.)pylori感染が密接に関与している.
●H.pyloriを除菌すると潰瘍再発率が著明に低下する.
●除菌対象は現時点ではH.pylori場性の再発性あるいは難治性潰瘍例が妥当である.
●単剤によるH.pylori除菌率は低く,併用療法が主体となる.
●古典的な3者併用療法は副作用が強く,より短期・少量のレジメンが検討されている.
●除菌治療の問題点として,副作用,耐性菌の出現などがある.

海外旅行者のための感染症の知識

海外旅行者の感染予防対策と帰国後の下痢の対策をどうするか

著者: 一瀬休生

ページ範囲:P.133 - P.135

ポイント
●海外渡航歴の有無は感染症の診断に重要である.
●旅行者下痢症を起こす病原体としては細菌が最も多く,中でも毒素原性大腸菌が起因菌のトップを占め,次いでサルモネラ,カンピロバクター,赤痢菌などが多い.
●下痢便に好中球がみられない場合,抗生剤を必要としない疾患であることを示唆している.

エボラ熱とはどんな感染症か

著者: 中原英臣

ページ範囲:P.136 - P.137

ポイント
●エボラ出血熱はエボラウイルスの感染によって起きる伝染病である.
●エボラ出血熱の致命率は約80%と非常に高い.
●エボラウイルスは,エボラ・スーダン,エボラ・ザイール,エボラ・レストン,エボラ・アイボリーコーストの4種類が分離されている.
●エボラ出血熱の流行はザイールとスーダンを中心に発生している.
●効果的な予防法と治療法はない.

マールブルグ熱とはどんな感染症か

著者: 長谷川均

ページ範囲:P.138 - P.139

ポイント
●1967年,マールブルグおよびベオグラードでウガンダから輸入したアフリカミドリザルを扱った技術者に発症した死亡率の高い出血熱である.その後アフリカ東中南部でのみ散発的に発症している.
●病原体はフィロウイルス科に属するマールブルグウイルスで,保有動物は不明である.
●臨床症状は他の出血熱と類似する.
●予防,治療法は特にない.

ラッサ熱とはどんな感染症か

著者: 永武毅

ページ範囲:P.140 - P.141

ポイント
●ラッサ熱はマールブルグ病,エボラ出血熱とともに伝染力が強く,致命率も高いウイルス性出血熱である.
●ラッサ熱は野ネズミのマストミスの血液,尿,便,唾液などに汚染された飲食物の経口摂取により感染し,ヒトからヒトへは患者の吐物,血液,排泄物との接触や性的接触による.
●診断は流行地への旅行歴により本症を疑い,ウイルス分離や免疫蛍光法による抗体検査を行う.

カラーグラフ 塗抹標本をよく見よう・1

赤血球の異常・1

著者: 久保西一郎 ,   藤田智代 ,   浜田恭子 ,   高橋功 ,   三好勇夫

ページ範囲:P.157 - P.159

 図1は末梢血塗抹標本のギムザ染色である.この染色標本により私たちは容易に赤血球,白血球,血小板の形態を観察することができる.血液疾患の多くは,これらの細胞が異常を起こすことによって生じることから,血液塗抹標本の観察はその診断に大変重要である.
 一方,血液疾患以外の病気の場合においても,赤血球,白血球,あるいは血小板の異常がしばしば認められ,塗抹標本の注意深い観察によって,これらの疾患の診断や,病態の理解に役立つ大変有用な情報を得ることができる.

グラフ 高速CTによるイメージング・1

肝の腫瘍性病変

著者: 関口隆三 ,   森山紀之

ページ範囲:P.161 - P.167

 撮影台を連続的に移動させながら連続撮影を行うHelical CTの出現は,従来の撮影方法に比べ撮影時間を飛躍的に短縮することができるようになった.検査の途中で息継ぎをさせながら連続撮影を数回に分けて行う従来の撮影方法とは異なり,1呼吸停止下に全肝を一気に撮影することが可能で,上下の連続性が保たれた良好な画像を得ることができるようになった.このため鑑別診断に有効な造影CTにおいて,関心領域を連続性が保たれた造影効果の比較的同一な状態で,すなわち動脈相・静脈相などの同じ時相に撮影できるようになり,肝細胞癌をはじめとした種々の病変の存在診断ならびに質的診断精度の向上に大きく貢献している(図1)1).肝の腫瘍性疾患の質的診断を行うためには,単純CT,造影CTの早期相(動脈相)と後期相(静脈相)とを比較して,腫瘍の血行動態(経時的変化)を把握することが大切である.Helical CTは,造影CTの早期相において,肝実質があまり染まってこない時期に肝全体を撮影することが可能で,特にその威力を発揮する.
 本稿では,Helical CTを用いた肝臓の腫瘍性疾患を対象とした造影検査方法および撮影方法について解説し,次に各種疾患の単純CT,造影CTの早期相および後期相の画像を提示し,読影のポイントについて解説する2,3)

連載

目でみるトレーニング

ページ範囲:P.169 - P.174

演習 胸部CTの読み方・7

右側胸部痛で受診した64歳の男性

著者: 大道和宏 ,   山木戸道郎 ,   粟井和夫

ページ範囲:P.175 - P.178

Case
64歳,男性.喫煙歴,飲酒歴なし.右背部〜右側胸部痛,および同部位のしびれ感を訴え来院.精査目的で胸部CT検査施行(図1).既往歴として1954年(24歳時)に肺結核に罹患し,人工気胸術を受けている.

図解・病態のメカニズム—分子レベルからみた神経疾患・5

DNA修復と神経疾患—色素性乾皮症

著者: 西澤正豊

ページ範囲:P.179 - P.182

 DNAは紫外線や化学物質などの環境因子から絶えず損傷を受ける危険にさらされている.特に紫外線は隣接するピリミジン塩基の間でシクロブタン・ダイマー(二量体)を形成させ,DNAの転写や複製を阻害する.複製の異常はDNAに恒常的な変異をつくり,ひいては細胞の死や癌化を招くことになる.そのため,生体は大腸菌からヒトに至るまで,普遍的な細胞機能として,DNA損傷を修復する機構を用意し,環境因子によるDNA損傷に対抗している.

知っておきたい産科婦人科の疾患と知識・5

軽い下腹痛と子宮外妊娠

著者: 松井尚彦 ,   藤澤佳代 ,   宮川勇生

ページ範囲:P.183 - P.185

 子宮外妊娠は産婦人科における急性腹症の一つとして極めて重要な疾患である.以前は卵管破裂による急性貧血症状などの所見を双合診,ダグラス窩穿刺により素早く診断し,ショックを未然に防止することに重きが置かれていた.しかし,近年では,高感度尿中hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)測定キットの開発や超音波診断装置,腹腔鏡の改良などの診断方法の進歩により,妊娠初期に未破裂の状態で診断し,さらにマイクロサージェリーやメソトレキセート卵管内注入法などによる卵管の温存を試み,次回の妊娠を考慮した治療法が選択されている1)
 本稿では,軽度の下腹痛を主訴に内科医を受診することもある卵管破裂や流産を起こす前の典型的な子宮外妊娠の症例を紹介するとともに,その診断と対応について述べる.

Drug Information 副作用情報・1

生命にかかわる重大な害反応について

著者: 浜六郎

ページ範囲:P.186 - P.187

実地診療上重要な副作用とは
薬の副作用(害反応)には種々のものがあるが,臨床的に特に重要なものといえば,やはり,頻度は小さくても,死亡しかねないものや重大な後遺症を残すものであろう.原疾患の悪化なのか害反応であるのかが見分けにくいような反応も,見逃されやすいという意味で重要であろう.また,重要なのだが意外と一般化していないものもある.
このシリーズでは,まず,死亡する例や重大な後遺症を残す可能性のあるものを優先して紹介し,原疾患の悪化なのか害反応なのかが区別し難いものや,一般化していないが重要と思われるものを紹介したい.

アメリカ・ブラウン大学医学部在学日記・16

ブラウン大学に入るまでの生い立ちと経緯

著者: 赤津晴子

ページ範囲:P.189 - P.191

少女時代に「生命」に興味を持ち
小学2年生のとき,おじぎ草の種を手に入れて,リビングルームの窓辺に鉢を置き,その成長を毎日楽しみに観察していたことを思い出す.おじぎ草はどうして触られるとパタパタと葉を閉じるのか不思議だった.「まるで生きているみたいだ」と思ってから,「あっ,そうか,おじぎ草は生きているのか」とハッとしたものだ.そのときの絵入りの自主観察記録『私の大事なおじぎ草』の中には,触らなくても,夕立がきて暗くなると,おじぎ草は葉を閉じることなどが驚きをもって綴られている.
田園調布双葉中学校,高校では生物が大好きであった.特に遺伝学が面白いと思った.漠然と生物学か医学を将来勉強してみたいな,と思いながらも,しかし受験なしで聖心女子大学に入れる推薦の話があったとき,それを一番喜んだのは両親であった.家は姉も従姉妹も叔母も聖心系であったので非常に自然な方向であった.私は素直に敷かれたレールの上に乗った.

医道そぞろ歩き—医学史の視点から・9

ヤッフォの海は青く—97年後に蘇ったホジキンの標本

著者: 二宮陸雄

ページ範囲:P.192 - P.193

 エルサレムの北方,ヤッフォという町の墓地にエジプト花崗岩のオベリスクが立っています.ホジキン病で名高いイギリス人トーマス・ホジキンの死を悲しんで,親友のモンテフィオレが1866年に立てました.碑には「ほかの国の人のことを彼ほど思った人はいない」とテラン語で刻んであります.クエーカー教徒の家に生まれたホジキンは,ロンドンのセント・トーマス病院の患者の悲惨さを見てその病室の改善を訴えたり,アメリカのインディアンや黒人を守る原住民保護協会に加わるなど,熱心に慈善事業に従事しました.特に晩年にはパレスチナのユダヤ人の保護に力を入れ,ロンドンのユダヤ人事業家のモンテフィオレと親しくして,何度もアフリカや中近東に旅行しました.1866年のその最後の旅行で,ホジキンはパリを経てインドに行き,船でエジプトのアレクサンドリアに寄ってから,ヤッフォとベイルートに向かいました.ところが不幸なことに,この年,パレスチナにはコレラが大流行していて,もともと体の弱かったホジキンは感染し,4月4日にヤッフォの町で死にました.68歳でした.
 ホジキンは1798年(寛政10年)にイギリスのペントンヴィルの教師の家に生まれました.ジェンナーの種痘発明の2年後で,本居宣長の『古事記伝』が完成し,伊能忠敬が蝦夷地測量を準備していた頃です.

medicina Conference・16

発熱・全身倦怠感・汎血球減少を示し,急激に全身状態が悪化した46歳の女性

著者: 小山高敏 ,   小宮格 ,   井上靖之 ,   山田哲也 ,   八田和大 ,   押昧和夫

ページ範囲:P.194 - P.208

患者:46歳,女性
主訴:発熱・全身倦怠感・汎血球減少・複視
現病歴:生来健康.1994年9月上旬,左1,2指のDIP関節より遠位にピリピリするような異常感が出現,9月中旬には右膝〜下腿前面の知覚低下,右足の筋力低下を自覚した.9月20日頃ハリ治療に行った.この数日後より項部〜左肩〜左腕全体の疼痛と37℃前後の発熱が出現した.近医で風邪といわれ,痛み止めと抗生剤をもらい服用.上肢の痛みは軽減したが,発熱は増強し39℃前後まで上昇,全身倦怠感が強くなったため9月30日に某病院を受診した.鎮痛剤・抗生剤などを投与されたが改善せず,この頃より複視出現.症状増悪し,10月13日に同院に入院し加療された.その後汎血球減少・肝障害が出現し,症状の改善なく,11月1日,精査・加療目的で当院に転入院となった.

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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