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文献詳細

雑誌文献

medicina33巻10号

1996年10月発行

文献概要

医道そぞろ歩き—医学史の視点から・18

ボローニヤ大学のモンディーノ

著者: 二宮陸雄1

所属機関: 1二宮内科

ページ範囲:P.1990 - P.1991

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 パドヴァから急行で1時間,丘の間を緩やかに下るとボローニヤの駅に着く.ネプチューン(海神)の像の立つ広場の教会の横に,欧州最古の大学ボローニヤ大学がある.10世紀にはすでに法律学の講義が行われており,これに付属する法医学施設として医学校もあったらしい.その頃,十字軍で死んだ兵士の骨を煮て故郷に持ち帰る習慣があったが,教皇ボニファキウス8世は解剖を含めてこれを禁じた.しかし,この布告に反して,医学校では人体解剖も行われたらしい.
 ボローニヤ大学の中庭は,パドヴァ大学と同じ回廊が取り巻いている.壁にはここで学んだ学生たちの名楯(スティグマタ)がたくさん掲げられている.2階にある解剖示説室は大戦中に破壊され,修復再現されたものである.ヒポクラテス,ガレノスら古代の医師たちの像と並んで,モンディーノ・デ・ルッチの像が解剖台を見下ろしている.ルッチ出身のモンディーノ(1265年頃〜1326年)はボローニヤの薬剤師の息子で,ボローニヤ大学を出て1306年に解剖学の教授になり,60歳前後で死亡するまでその職にあった.モンペリエのモンデビユと同じ頃ボローニヤで学び,ギュイ・ド・シヨーリアクがボローニヤに留学したときには50歳を越えていて,すでに『解剖学』(アノトミア)を書き上げていた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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