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カラーグラフ 塗抹標本をよく見よう・11
白血病(1)
著者: 久保西一郎1 藤田智代2 森澤美恵2 浜田恭子3 高橋功4 三好勇夫1
所属機関: 1高知医科大学第3内科 2高知医科大学大学附属病院中央検査部 3高知県立中央病院血液検査科 4高知県立中央病院内科
ページ範囲:P.2211 - P.2215
文献購入ページに移動図1は急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia:ALL)の末梢血塗抹標本である.小型で,細胞質の乏しい均一なリンパ芽球が多数出現している.FAB分類でL1と分類される症例である.標本を観察していると,ALL細胞に混じって,図2で示すような壊れた細胞(図中↓)が認められた.これらは第9回の連載でも紹介したが,グンプレヒトの核影(Gumprecht shadow)と呼ばれるもので,塗抹標本を作成するときに壊れた白血病細胞の核残存物である.特にリンパ増殖性疾患の際によく認められる.
この塗抹標本の観察を続けていると,図3に示す形態をした核影が認められた.Gumprecht核影にはバスケット細胞(basket cell)という名もついているが,なるほど図3で示した核影はどこか果物かごに似ている.Basket cellという名はこのような観察から由来したのではないだろうか,などと思いながら写真を撮った次第である.
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