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文献詳細

雑誌文献

medicina33巻12号

1996年11月発行

文献概要

iatrosの壺

急性心筋梗塞雑感

著者: 高間俊夫1

所属機関: 1今立中央病院内科

ページ範囲:P.22 - P.22

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 今から12年前,医師国家試験の発表後,大学病院での約2週間のクルズスを終えて,研修先の市立病院へ赴任.さっそく下腹部から背部痛を訴え,夜間救急入院した男性の主治医となりました.顕微鏡的血尿を認めたことより,尿路結石症と診断し,ベット上安静,持続点滴を続けて疼痛は軽快しましたが,翌日の採血データをみてびっくり.CPK,LDHなどの心筋逸脱酵素が上昇しており,急性心筋梗塞であることが判明.臨床の難しさを痛感させられました.
 急性心筋梗塞症は,CCUがありPTCAが可能な施設だけでみる疾患ではなく,発症直後はまず近医やかかりつけ医の診察を受けることが多いのです.患者さんは狭心症や急性心筋梗塞は胸痛を伴うものと理解しており,胸痛を自覚しない場合は心臓が悪いとは思わずに,来院が遅れてしまいます.先日,糖尿病で当科外来通院中の80歳の女性が,急性心筋梗塞に伴うショック状態で午後9時頃来院.家人の話では,同日の昼前より心窩部痛や嘔気を訴えていたが,本人も家人も胃の具合が悪いだけと思い,心身性ショックに陥るまで来院しなかったため,結局救命できませんでした.たとえ胃の痛みと思っていても心臓の発作の場合があることを,本人や家人に指導しておくべきであったと反省させられました.急性心筋梗塞は,発症後いかに早く診断されるかで,救命率が違ってきます.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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