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文献詳細

雑誌文献

medicina33巻12号

1996年11月発行

文献概要

増刊号 Common Drugs 350の投与戦略 消化器疾患治療薬 肝疾患治療薬

モニラック(中外)

著者: 井上和明1

所属機関: 1昭和大学藤が丘病院消化器内科

ページ範囲:P.153 - P.154

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臨床薬理
●作用機序:ラクツロース(モニラック®)は,ガラクトースとフルクトースがエーテル結合することにより,人工的に合成された二糖類である.人の消化管にはラクツロースを単糖類に分解する酵素が存在しないために,経口的に投与された本剤は消化や吸収を受けずに結腸へ到達する.本剤の作用機序は以下の3つに大別される.①水溶性であるので,結腸において水に溶けることにより浸透圧性緩下作用を発揮する.②結腸において一部が腸内細菌により分解を受けて,酢酸,プロピオン酸,酪酸,乳酸などの有機酸が産生されることにより,腸内のpHを低下させてアンモニアの腸管から血中への吸収を抑制する.実際に患者に本剤を投与すると,血中のpHは変化しないが便中のpHは低下する.こうしてできた血中と腸管との間のpHの勾配は,血中から腸管へのアンモニアの移行を促進し,同時に腸管中のアンモニアは非吸収性のNH4イオンに変化して腸管中にとどまり,血中に吸収されない.このようなアンモニアの移行は酸透析と呼ばれ,結腸はアンモニアの主要な産生臓器であるとともに主要排泄器官ともなり得る.さらに,本剤はアンモニア以外の毒性物質の腸管からの吸収も抑制するとの報告もある.③また,本剤の分解により産生されたこれらの有機酸は,腸管の蠕動運動を促進してアンモニアの排泄を促進する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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