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増刊号 Common Drugs 350の投与戦略 消化器疾患治療薬 受容体拮抗型制吐薬
カイトリル(スミスクライン)
著者: 相澤信行1
所属機関: 1湘南鎌倉総合病院内科
ページ範囲:P.161 - P.162
文献購入ページに移動●作用機序:抗悪性腫瘍薬治療で最も苦痛のある副作用は,吐気・嘔吐である.本剤が臨床に応用されたのは1992年頃からであるが,本剤が使用できるようになる前までは,大量の制吐薬を使用しても吐気・嘔吐を抑えるのは困難なことが多かった.本剤の出現によって,抗悪性腫瘍薬治療時の吐気・嘔吐はほとんど完全にコントロールできるようになってきた.
吐気・嘔吐は,多くの場合,主にchemorece-ptor trigger zone(CTZ)に存在するドパミン受容体に対する刺激によって起こるが,抗悪性腫瘍薬を使用して起こる吐気・嘔吐は,このメカニズムとは異なっている.抗悪性腫瘍薬の投与により,主に小腸粘膜に存在する腸クロム親和性細胞が刺激されてセロトニンが放出される.放出されたセロトニンは,求心性腹部迷走神経末端にあるセロトニン受容体に結合し,その刺激が直接,あるいはCTZを介して嘔吐中枢に伝達され,吐気・嘔吐が起こる.
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