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文献詳細

雑誌文献

medicina33巻12号

1996年11月発行

iatrosの壺

クスリと高窒素血症

著者: 由良高文1

所属機関: 1八尾市立病院内科

ページ範囲:P.177 - P.177

文献概要

 腎障害をきたす薬剤の定番といえば—例えば,慢性関節リウマチの66歳の女性.術前に腎機能に関して当科を受診した.カルテをめくっていると,図のように,BUN,Crの変動が大きく,BUN/Cr比は高い.患者は従来より「腎臓が悪い」ということで,フロセミドの内服を続けており,加えて,ボルタレン®坐薬50mgを1日2回使用していた.いったん利尿薬を中止し,坐薬の使用を可及的に減らしてもらったところ,Crはどんどん下がって1を切った.よくある話ながら,長く続いた高窒素血症があっけなく消退し,かえって印象的だった.
 次はかなり特殊な症例である.33歳男性.ゴルフの後の飲み会で,知人から歯痛のクスリをもらって内服したところが,翌日より腰痛と全身倦怠感が出現,近医で高窒素血症を指摘され,当科入院となった.入院時Crは8.4mg/dlと上昇していたが,当初から利尿が得られ,経過観察のみで症状の消失と腎機能値の正常化をみた.薬剤性急性間質性腎炎が疑われたが,腎生検では明らかな組織変化を認めず,半信半疑のまま,問題の鎮痛薬(グラフェニン)を少量飲んでもらうことにした.その翌日,腰背部痛と発熱が出現.「先生,こらほんまもんじゃ」と患者さん.Crは2.1mg/dlまで上昇した.気の重い数日間だった.実は,グラフェニンによる急性腎障害の報告は,外国文献にはあるのだ.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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