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文献詳細

雑誌文献

medicina33巻12号

1996年11月発行

文献概要

iatrosの壺

スルピリドによるパーキンソン症候群

著者: 白浜雅司1

所属機関: 1三瀬村国民健康保険診療所

ページ範囲:P.179 - P.179

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 スルピリドは抗消化性潰瘍作用と抗うつ作用,抗精神病作用をもつユニークな薬である.高プロラクチン作用で乳汁分泌などが起きるので妊娠する可能性のある女性には使いにくいが,他の三環系や四環系の抗うつ薬に比べて,食欲増進作用が強いこと,眠気や口渇感などの抗コリン作用が少ないことから,多くの内科系の医師が,うつ状態に対する薬として使用されているのではないかと思う.筆者自身,なんとなく元気がなく食欲が落ちているようなうつ状態の人(特に高齢者)に対して,スルピリド1回50mg,1日3回投与を処方して,効果のある人では1週間以内にほとんど食欲が出てきて元気になったと喜ばれていた.ところが,3カ月くらいスルピリドを継続服薬した60代のうつ病の男性が,何か顔の表情がさえなくなり,手が震えるという訴えをされるようになった.少し上腕の拘縮もあり,パーキンソン病が出てきたのではないかと神経内科に紹介した.結果は,ドグマチール®による薬剤性のパーキンソン症状が疑われるのでまず薬をやめて経過をみてほしいという返事であり,確かに止めると2週間ほどで症状は改善した.
 製薬会社のMRの方に聞くと,スルピリドはプリンペランの誘導体として開発された薬で,そのことが食欲亢進作用につながるのだが,確かに0.5〜1%の頻度でパーキンソン症状を出現することがあるとのコメントであった.筆者の勉強不足だったのかもしれないが,薬物ハンドブック的な教科書ではあまり触れられていない事柄であるので今回取り上げた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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