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iatrosの壺
他疾患の合併や薬剤による病態の修飾に注意を
著者: 中村信1
所属機関: 1佐野厚生総合病院内科
ページ範囲:P.324 - P.324
文献購入ページに移動 最近,示唆に富む症例を経験した.患者は糖尿症性腎症のため外来通院中で,経口糖尿病薬による血糖管理は不良であった.しかし,ある時期から急に血糖管理が良好となり,今までになかった低血糖を認めるほどになった.食事療法を守れるようになったのかと感心していたところ,下痢を訴えるようになり,血清蛋白・コレステロールの低下といった低栄養状態を呈し,下腿浮腫の増強・胸水貯留も認めるようになった.止痢薬,利尿薬(フロセミド)の投与によって,下痢・浮腫は軽快したが,低栄養の改善がなく低血糖傾向が続くため入院とした.
入院後には,さらに汎血球減少症,軽度の肝障害も出現した.画像診断上は,肝硬変は否定的であったが脾腫があり,なんらかの肝疾患や悪性疾患の存在を疑ったため,その後各種画像検査・骨髄検査を進めたが,結果はシロであった.診断に苦慮した場合には常に薬剤の副作用を疑わねばならず,医薬品集を繕いてみると,フロセミドの副作用に汎血球減少症が報告されていた.そこで,フロセミドを休薬してみると,見事に血液所見は改善した(本例では,同じループ利尿薬であるブメタニドでは汎血球減少症を認めず,現在も投与中である).
入院後には,さらに汎血球減少症,軽度の肝障害も出現した.画像診断上は,肝硬変は否定的であったが脾腫があり,なんらかの肝疾患や悪性疾患の存在を疑ったため,その後各種画像検査・骨髄検査を進めたが,結果はシロであった.診断に苦慮した場合には常に薬剤の副作用を疑わねばならず,医薬品集を繕いてみると,フロセミドの副作用に汎血球減少症が報告されていた.そこで,フロセミドを休薬してみると,見事に血液所見は改善した(本例では,同じループ利尿薬であるブメタニドでは汎血球減少症を認めず,現在も投与中である).
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