文献詳細
増刊号 Common Drugs 350の投与戦略
代謝・栄養障害治療薬 カルシトニン製剤(骨粗鬆症治療薬)
文献概要
カルシトニンは1962〜1963年にイヌ,ラットなどの哺乳動物において発見され,その後の研究で魚類,鳥類にも見つかった.甲状腺C細胞で合成分泌され,Ca濃度の上昇が分泌刺激となる.破骨細胞に直接作用して,その骨吸収を抑止することが知られている.しかし,ヒトでの生理的な役割は確立されていない.すなわち,骨粗鬆症患者で,カルシトニンの分泌が障害されている旨の報告はみられるが確定的なものではない.しかし,カルシトニンがその薬理量において,破骨細胞の活性を低下させ,骨吸収を抑制するのはまぎれもない事実であり,このことから,骨吸収の程度が骨形成を上回り,骨の単位面積当たりの骨量が減少し,それに伴う腰骨痛や病的骨折を引き起こす骨粗鬆症に対して有効であると考えられた.本剤の一般名はエルカトニンであり,ウナギカルシトニンのジスルフィド結合をエチレン結合に変えて,物理化学的に安定化させた誘導体である.本剤は,ヒトカルシトニンよりその効力が強く,またCa低下作用の持続も長い.
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