icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina33巻12号

1996年11月発行

文献概要

増刊号 Common Drugs 350の投与戦略 代謝・栄養障害治療薬 カルシトニン製剤(骨粗鬆症治療薬)

ロカルトロール(ロシュ)

著者: 細井孝之1 大内尉義1

所属機関: 1東京大学医学部老年病学

ページ範囲:P.347 - P.348

文献購入ページに移動
臨床薬理
●作用機序:体内のビタミンD3は食品に由来するものと,体内において紫外線の影響のもとに,皮膚において合成されるものがある.ビタミンD3がその生理活性を発揮するには,1α位と25位が水酸化された1α,25-dihydroxy-vitamin D3になる必要がある.1α位の水酸化は腎臓で,25位の水酸化は肝臓で行われることが知られている.ロカルトロール(calcitriol;1α,25-dihydroxy-vitamin D3)はこの2つの水酸化が既に行われている製剤であり,このままの形で標的細胞に作用する.一方,アルファロール®あるいはワンアルファ®の製品名で知られる薬剤は1α-hydroxy-vitamin D3であり,ビタミンD3の1α位のみが水酸化されたものである.これらは,体内で吸収された後にさらに肝臓で水酸化される必要がある.
 1α,25-dihydroxy-vitamin D3は腸管や腎臓,骨組織といった標的臓器に作用する.腸管においてはカルシウムの吸収を促進し,腎臓においてはカルシウムの再吸収を促すことが示されている.この結果,骨粗鬆症患者,特に高齢者におけるカルシウム代謝を改善し,骨量の維持・増進に結びつくものと考えられる.さらに,骨では骨形成系,骨吸収系の両方に直接作用し,骨代謝を活性化することによって骨粗鬆症の治療効果が得られるものと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?