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iatrosの壺
3種の悪性腫瘍治療を可能にしたのは?
著者: 中村昇1
所属機関: 1京都第一赤十字病院呼吸器科
ページ範囲:P.376 - P.376
文献購入ページに移動62歳の時,呼吸器科に紹介され,副鼻腔炎・気管支拡張症・緑膿菌肺炎で入院し,在宅酸素療法下に退院となった.通院中,背部の皮下結節に気づかれ,生検の結果皮膚T細胞性リンパ腫(HTLV—I陽性)と診断されたのは,翌年だった.血液内科に転科し,化学療法が行われ寛解となったが,緑膿菌肺炎がコントロールできなくなり,化学療法の継続は断念された.翌年に肝癌が診断され,治療が始められた.呼吸器科ではエリスロマイシン少量持続療法が奏効し,在宅酸素療法を離脱した.66歳になり,右上葉に空洞を伴う腫瘤が出現したため,気管支鏡を行ったが確診にいたらず,経皮穿刺生検目的で入院の際,リンパ腫の再発を発見した.血液内科と再協議の結果,再度化学療法を行うこととし,感染はなんとかコントロールし再び寛解となったが,半年後肺腫瘤は増大した.2度目の気管支鏡検査で扁平上皮癌と診断され,血液・肝・呼吸器の主治医が集まり,患者さんを含め相談となった.低肺機能・術後感染のリスクと,合併している他の疾病の予後を考え,放射線療法が選択され,60Gyの照射で寛解を得,再び外来通院可能となった.
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