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文献詳細

雑誌文献

medicina33巻12号

1996年11月発行

文献概要

iatrosの壺

腎不全用アミノ酸製剤と意識障害

著者: 神野雄三1

所属機関: 1湯河原厚生年金病院内科

ページ範囲:P.387 - P.387

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 必須アミノ酸療法は急性腎不全の救命率を高めると70年代に報告されて以来,金科玉条のごとく腎不全患者にAmiyuを投与する医師が少なくない.しかし,Amiyuの投与により肝性脳症をひき起こすことがある.透析患者7例中3例に意識障害をきたしたとの報告があり,かなり高頻度の出現率である.機序としてアルギニンの欠乏,分枝鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸比の低下などが考えられている.
 筆者が若手の頃,維持透析中で腎結核の疑いの60歳代の女性患者を受け持った.中心静脈栄養が必要となり,その際指導医より腎不全用必須アミノ酸製剤の投与の指示があり,Amiyuを使用したが,次第に傾眠傾向となり意識障害をきたしてきた.原因をあれこれと調べているうちに,昏睡状態に陥ってしまった.診断のつかぬままに脳梗塞として治療を行ったが,3週間の経過で亡くなり,剖検でも原因は不明であった.その後に,Amiyu投与中の透析患者に意識障害が認められるとの報告が散見されてきて,その原因を納得し,以後,腎不全患者にAmiyuを投与したことはなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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