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iatrosの壺
MRSA感染症治療の難しさ
著者: 鈴木伸1
所属機関: 1名古屋市立城北病院内科
ページ範囲:P.462 - P.462
文献購入ページに移動 種々の疾患を抱えた高齢者に発症したMRSA感染症の1例について紹介する.
症例は83歳男性.肺気腫,気管支喘息,糖尿病にて通院中であった.完全房室ブロックが出現し,平成7年7月,ペースメーカーの植え込みを行った.植え込み時,気胸を生じ,気管支喘息が増悪したため,ステロイドの投与を行った.糖尿病のコントロールも悪化し,栄養不良も重なり,縫合不全を繰り返した.このため,創部の感染あるいは感染予防に,約1カ月にわたりCTM,CAZなどの抗生物質投与が余儀なくされた.同年10月,ペースメーカーポケット部に瘻孔が生じ,同部の細菌培養にてMRSAが検出された.VCMの点滴,ST合剤の創部への注入などの処置を行ったが,瘻孔は閉鎖しなかった.このため,同年12月,MRSA感染の要因となったジェネレーターおよびペーシングリードを抜去し,対側から再度ペースメーカーの植え込みを行った.これらの処置により,瘻孔は塞がり治癒した.その後,平成8年2月,肺炎,気管支喘息のため再入院となった.喀痰からMRSAが検出されたが,起炎菌ではなくコロニゼーションと判断し,CZOPの点滴をしたところ軽快した.
症例は83歳男性.肺気腫,気管支喘息,糖尿病にて通院中であった.完全房室ブロックが出現し,平成7年7月,ペースメーカーの植え込みを行った.植え込み時,気胸を生じ,気管支喘息が増悪したため,ステロイドの投与を行った.糖尿病のコントロールも悪化し,栄養不良も重なり,縫合不全を繰り返した.このため,創部の感染あるいは感染予防に,約1カ月にわたりCTM,CAZなどの抗生物質投与が余儀なくされた.同年10月,ペースメーカーポケット部に瘻孔が生じ,同部の細菌培養にてMRSAが検出された.VCMの点滴,ST合剤の創部への注入などの処置を行ったが,瘻孔は閉鎖しなかった.このため,同年12月,MRSA感染の要因となったジェネレーターおよびペーシングリードを抜去し,対側から再度ペースメーカーの植え込みを行った.これらの処置により,瘻孔は塞がり治癒した.その後,平成8年2月,肺炎,気管支喘息のため再入院となった.喀痰からMRSAが検出されたが,起炎菌ではなくコロニゼーションと判断し,CZOPの点滴をしたところ軽快した.
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