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文献詳細

雑誌文献

medicina33巻12号

1996年11月発行

文献概要

増刊号 Common Drugs 350の投与戦略 感染症治療薬 カルバペネム系抗生物質

チエナム(萬有)

著者: 重松三知夫1 長井苑子1

所属機関: 1京都大学胸部疾患研究所呼吸器内科

ページ範囲:P.471 - P.473

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臨床薬理
●作用機序:本剤は,世界最初のカルバペネム系抗生物質のイミペネム(IPM)と,dehydropepti-dase-I(DHP-I)阻害薬であるシラスタチンナトリウム(CS)の合剤である.IPMはカルバペネム骨格という新規な化学構造と,緑膿菌,嫌気性菌を含めた広い抗菌スペクトラム,β-ラクタマーゼに対する高い安定性などの特徴を有する薬剤として合成されたが,腎の近位尿細管に局在するDHP-Iによって加水分解されてしまう.このため,DHP-Iの作用を阻害するとともに,IPMのもつ腎毒性を軽減する働きを有するCSが開発され,両者を1:1の比で配合することにより,チエナム®が完成された.
 IPMをはじめとするカルバペネム系抗生物質は,ペニシリン系薬やセフェム系薬とともにβ-ラクタム系に属し,その抗菌作用機序はβ-ラクタム系に共通する細胞壁合成阻害による.細菌の細胞壁上にはペニシリン結合蛋白penicillin bindingproteins(PBPs)が存在し,細胞壁合成の過程で酵素として機能しており,その種類と機能は菌種によって異なっている.β-ラクタム系薬は,β-ラクタム環の開環とともにPBPsと結合し酵素の機能を停止するが,IPMでは,主にPBP 2との結合親和性が強いという他のβ-ラクタム系薬との相違から,菌を球形膨化させ,速やかに溶菌するという特徴がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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