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文献詳細

雑誌文献

medicina33巻12号

1996年11月発行

文献概要

iatrosの壺

敗血症と鑑別困難であった薬剤アレルギー例の経験

著者: 広瀬立夫1

所属機関: 1浦和市立病院内科

ページ範囲:P.492 - P.492

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 薬剤の使用に関連して,私が特に印象に残っている経験を紹介してみたい.
 症例は19歳男性.1週間前から上気道炎症状および発熱が出現したため,近医で投薬を受けたが軽快せず,抗生剤(LMOX)を投与されたがさらに増悪,40℃台の発熱となった.両下肢に紫斑出現,低血圧もみられたため,DICを伴う敗血症性ショック疑いにて紹介入院となった.入院時BP82/50mmHg,BT40.1℃.検査結果はWBC8,200,Hb10.8g/dl,Plt3.4×104,血沈8mm/hrで肝機能・腎機能に異常を認めなかった.入院が土曜日の午後であったため,当直医は敗血症に対して抗生剤が無効と判断,LMOXに加えて他の抗生物質を追加したが症状改善せず,39℃の発熱が持続した.血小板はさらに低下し,1.2×104となった.私がこの患者を診たのは月曜日の朝になってからであった.一見して不審に思ったのは血圧80mmHg前後であるにもかかわらずショック症状がなかったことであった.ここで抗生物質を中止するか否かで激論が展開された.これが敗血症であった場合には抗生物質を中止するのは勇気がいることである.しかし薬剤による障害であれば直ちに抗生物質を中止しなければ命取りになる.たとえ敗血症であっても,現時点の抗生剤で症状は改善しておらず有効ではないと考え,中止してみることにした.その翌日,解熱とともに全身に著明な発疹が出現,一過性の無顆粒球症が出現し,数日後には軽快した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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