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文献詳細

雑誌文献

medicina33巻3号

1996年03月発行

文献概要

今月の主題 肝疾患Q&A 肝疾患の疫学と機序

アルコール性肝障害におけるHCV感染の実態と役割は判明したか

著者: 石井裕正1 斎藤英胤1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部消化器内科

ページ範囲:P.445 - P.447

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ポイント
●HCVの発見以来,アルコール性肝障害と考えられていた症例の中にHCV感染者が高率に認められる.
●HCV感染を重複したアルコール性肝障害の症例では,断酒によるトランスアミナーゼ値の回復も一つの診断の指標とする.
●従来,慢性の飲酒による宿主免疫能の低下によりウイルス量が増加すると考えられてきたが,近年,HCVの増殖に対してアルコールが直接促進的に作用する可能性が考えられている.この点に関してはいまだ直接的な証明がなく,さらに検討が必要である.
●組織gradingから判定すると,大量飲酒はC型慢性肝炎の組織像を増悪することが想定される.C型慢性肝炎の病理組織診断の際には慎重な飲酒歴の聴取が必要である.
●アルコール依存HCV感染者では,非感染者に比較してacetaldehyde adductに対する抗体が有意に高率に検出され,HCV感染,特に1b型の感染がアルコール性肝障害をさらに増悪することが考えられる.
●進行したウイルス性慢性肝障害においては,多量の飲酒がその病態を悪化させるが,少量の飲酒の影響については今後の検討を要する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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