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文献詳細

雑誌文献

medicina33巻4号

1996年04月発行

医道そぞろ歩き—医学史の視点から・12

自由を標榜したパドヴァ大学

著者: 二宮陸雄1

所属機関: 1二宮内科

ページ範囲:P.800 - P.801

文献概要

 北イタリアのパドヴァ駅に降りて,橋を渡り,広場の一角にある大学の前に立つと,ここで450年前に『人体構造論』(ファブリカ)を書いていたヴェサリウスの姿が浮かんでくる.そしてパドヴァ大学の封印に刻まれたuniversa universis patavina libertas「すべての人にパドヴァの自由」というラテン語を思い出す.パタヴィウムはパドヴァの昔の市名である.
 ヴェサリウスが生まれたのは1514年である.その3年後の1517年に,パドヴァ大学は機構改革を行って,2年ごとに3人のヴェネチア市民を改革委員に任命した.当時,パドヴァはヴェネチア公国が支配していた.ルターがウィッテンベルク大学で法王への抗議「95ケ条」を掲げた年である.この改革委員会は,学生の宗教の自由や教授の教育の自由を保証した.封印はパドヴァ大学の基本姿勢の宣言とみてよい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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