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カラーグラフ 塗抹標本をよく見よう・5
赤血球の異常・5
著者: 久保西一郎1 藤田智代2 浜田恭子3 高橋功4 三好勇夫1
所属機関: 1高知医科大学第3内科 2高知医科大学附属病院中央検査部 3高知県立中央病院中央検査部 4高知県立中央病院内科
ページ範囲:P.995 - P.998
文献購入ページに移動自己免疫性溶血性貧血のほとんどは温式抗体によって生じるが,一部冷式抗体によって生じるものもある.冷式抗体には発作性寒冷ヘモグロビン尿症(paroxysmal cold hemoglobinuria)にみられるIgG型の寒冷血素と,寒冷凝集素症にみられるIgM型の寒冷凝集素とがある.図1〜3は寒冷凝集素症患者の末梢血塗抹標本である.
図1は血液を4℃に冷やして作製した塗抹標本である.抗凝固剤を加えているにもかかわらず,激しい赤血球凝集が認められる.冷式自己抗体の作用温度域は様々で,患者によって異なる.その温度域が広い場合,体温より少し低い温度でも赤血球と結合して溶血を起こす.
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