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文献詳細

雑誌文献

medicina33巻5号

1996年05月発行

文献概要

医道そぞろ歩き—医学史の視点から・13

神聖な最高の職務とは

著者: 二宮陸雄1

所属機関: 1二宮内科

ページ範囲:P.1028 - P.1029

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 16世紀にパドヴァ大学でモンタヌスが始めたというベッドサイド教育は,意外に思われるかもしれないが,今から100年ほど前まで,アメリカでは行われなかった.医学教育はもっぱら講義だけで行われていた.アメリカで初めて本格的な臨床教育を始め,ベッドサイド教育の重要性を啓蒙したのは,フィラデルフィアのジェファスン医学校のダ・コスタである.ご承知のように,フィラデルフィアは1765年11月14日にアメリカで最初のペンシルベニア医学校が創立された町である.ダ・コスタは1864年に出版した『内科診断学』で有名な人で,この本はドイツ,イタリア,ロシヤなど各国で翻訳された.当時,アメリカでは医者の質が問われ,医学教育が盛んに論議されていた.ダ・コスタは1893年にハーヴァード大学で講演し,「法律や神学と違って,医学教育が鋭い関心と深い感情で論議されるのは,医学そのものに未だ不確定な要素が多く,また日に日に変貌しているからであろう」と述べている.
 この頃,ウィリアム・オスラーは35歳でペンシルベニア大学医学部の教授になっていた.オスラーは1849年に,カナダのオンタリオ州の辺境の地ボンド・ヘッドで宣教師の9人の子の一人として生まれた.1872年にモントリオールのマギル医学校を卒業し,欧州での留学の後に,25歳で母校の教授になった.学生たちは彼をベイビー教授と呼んだ.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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