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カラーグラフ 塗抹標本をよく見よう・9
リンパ球の異常・2
著者: 久保西一郎1 藤田智代2 久原太助2 浜田恭子3 高橋功4 三好勇夫1
所属機関: 1高知医科大学第3内科 2高知医科大学附属病院中央検査部 3高知県立中央病院血液検査科 4高知県立中央病院内科
ページ範囲:P.1799 - P.1802
文献購入ページに移動図1は,末梢血中に認められた骨髄腫(myeloma)細胞である.豊かな胞体と偏在した核を有する未熟な形態をしており,典型的な骨髄腫細胞と考えられる.診断後約6年が経過して,病気がかなり進行した骨髄腫患者の末梢血塗抹標本にみられた細胞である.骨髄腫は腫瘍化した形質細胞が,主として骨髄で増殖する疾患である.図2で示すように,骨髄中には多数の骨髄腫細胞を認めるが,末期を除いては,図1のような細胞が末梢血中に出現してくることはほとんどない.このような細胞が末梢血の塗抹標本で認められた場合,その患者の骨髄腫は相当悪化していることが考えられる.
ごくまれに,病気の初期から,末梢血中に骨髄腫細胞が出現してくることがある.いわゆる形質細胞性白血病(plasma cell leukemia)の場合である.図3はそのような形質細胞性白血病の末梢血塗抹標本である.この症例では,メイ-グリュンワルド-ギムザ(May-Grünwald-Giemsa)染色を行うと,細胞質の周辺が図のように赤く染まる細胞から成っていた.このような細胞を火炎細胞(flame cell:図中→)と呼ぶことがある.
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