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文献詳細

雑誌文献

medicina34巻10号

1997年10月発行

文献概要

医道そぞろ歩き—医学史の視点から・30

生物学を揺るがしたDNAの二重らせん構造

著者: 二宮陸雄1

所属機関: 1二宮内科

ページ範囲:P.2054 - P.2055

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 1209年に,オクスフォードの学生と町民の間で酒の上の喧嘩や女性をめぐる争いがあって,学者や学生がケンブリッジに逃れて学校を作った.このケンブリッジ大学には,1229年にパリ大学から多数の教師や学生が移住した.パリでも,市民は学生たちの日常行動に反感を抱いていて,ついに居酒屋の亭主と学生が喧嘩し,この移住の原因となった.
 それから700余年の後,1951年の秋に,23歳の生化学者ワトソンと35歳の物理学者クリックは,ケンブリッジ大学物理学部のキャベンディッシュ研究所で出会った.キャベンディッシュは,1766年に水素元素を発見したイギリスの貴族である.2年後の1953年,Nature誌に二人が発表したDNAの二重らせん構造の発見は,ワトソン自身の言葉で言えば,「ダーウィンの著書以来,生物学史上でもっとも画期的な発見の一翼を担う」ものであった.二人は900語の論文の冒頭に次のように書いている.「われわれはデオキシリボ核酸(DNA)の塩の構造を提案したいと思う.この構造は,生物学的にみてすこぶる興味をそそる斬新な特質をそなえている.」

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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