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文献詳細

雑誌文献

medicina34巻11号

1997年10月発行

増刊号 内科医のMRIとのつきあいかた

MRIで何がわかるか 頭部

脳梗塞

著者: 内野晃1

所属機関: 1佐賀医科大学放射線部

ページ範囲:P.93 - P.102

文献概要

 脳卒中発作(脳梗塞,脳出血,くも膜下出血)で救急搬入された患者に,まず行うべき画像診断はCTである.急性期の脳出血とくも膜下出血は,ほとんどの場合CTにて診断できる.CTで異常のみられない場合には,脳梗塞の診断のもとに治療を開始する.CTで梗塞巣を低吸収域として指摘できるのは発作6時間以降であり,また24時間以内では小梗塞巣の指摘は困難な場合が多い.
 一方,MRIでは最新の装置による特殊な撮像法を用いれば,発症直後から異常を指摘できる(「EPIの応用―脳梗塞の早期診断を中心として」311ページを参照).現在普及しているMRI装置による通常の撮像法でも,発症3時間で脳実質の信号変化をとらえることはできる.しかし,不穏状態にある超急性期の患者への適応にはおのずから限界がある.MRIの良い適応は,CTの弱点,すなわちbeam hardening artifact(スライス面内にX線吸収値の極めて高い構造があると画像再構成時に直線状の障害陰影が生じる)がみられる脳幹,小脳梗塞である1)(図1~4).Wallenberg症候群はMRIにて初めて病巣の生前診断が可能となった.臨床症状の責任病巣をCTで指摘できない場合も,MRIを追加する価値は高い.また,MRIでは造影剤を用いることなく血管の開存の有無を診断できる点が優れている2)(図5~7).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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