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増刊号 内科医のMRIとのつきあいかた MRIで何がわかるか 骨盤臓器
女性生殖器
著者: 富樫かおり1
所属機関: 1京都大学医学部附属病院核医学科
ページ範囲:P.247 - P.257
文献購入ページに移動1.婦人科領域疾患における超音波,CT,MRIの使い分け
婦人科疾患の画像診断は,経腔プローベを用いた超音波とMRIの普及により飛躍的な進歩を遂げた領域である.超音波は非侵襲性,簡便性が大きな特徴であり,腹部領域の画像診断法としてfirst-lineに位置することは誰もが認めるところである.経腟プローベを用いることにより,さらに詳細な解剖学的情報を得ることが可能となり,婦人科領域において欠くことのできない検査法である.
MRIはまず第一に,組織コントラストの点で圧倒的に優れた検査法である.すなわち,超音波では実質組織あるいは液体としか認識できないものについても,MRIでは水分に富む組織あるいはコラーゲンに富む組織など,ある程度の組織の類推が可能となり,液体では脂肪と血液を特異的に診断することができる.さらに,術者依存性がなく客観性に優れる点や,多断面の撮像が可能なことより,解剖学的情報の提供に優れる点も超音波を超えるMRIの利点である.また,超音波と同じく非侵襲的であるため,生殖可能年齢女性や,良性疾患に用いることができる.ただし,MRIには特有の検査適応の制約があり,非侵襲的ではあるものの,婦人科領域に関するMRI検査は妊娠15週以降とする方向にある1).
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