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文献詳細

雑誌文献

medicina34巻12号

1997年11月発行

今月の主題 臨床医のための遺伝子工学

遺伝子の基礎知識

遺伝子の変異と疾患の発症

著者: 山縣和也1 松沢佑次1

所属機関: 1大阪大学医学部第2内科

ページ範囲:P.2086 - P.2088

文献概要

 遺伝性鎌状赤血球貧血の原因が異常ヘモグロビンであると判明したのが,特定の蛋白質分子の異常により疾患が発症することが明らかになった最初の報告であるという.その後も,血友病における凝固因子,フェニルケトン尿症におけるフェニルアラニンヒドロキシラーゼなどのように,いくつかの遺伝病においては生化学的な欠損が発見され,疾患の発症原因が同定された.しかし,大部分の遺伝病においてはその生化学的異常は不明であり,分子生物学の技術が発展する以前には,ヒトの疾患において遺伝子異常を解明することは大変困難であった.
 分子生物学の著しい発展により,疾患の原因は蛋白質レベルから遺伝子レベルで解明されるようになった.現在,遺伝子データベースには5,000以上の疾患遺伝子座がマップされている.注目すべきことは,生化学的な異常が同定される以前に原因遺伝子を同定する手法が開発されたことである.筋ジストロフィーのジストロフィンや,cystic fibrosisにおけるCFTR(cystic fibrosis transmembrane conductor regulator),若年発症成人型糖尿病におけるHNF遺伝子などはそのよい例である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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