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文献詳細

雑誌文献

medicina34巻12号

1997年11月発行

文献概要

今月の主題 臨床医のための遺伝子工学 遺伝子工学の臨床への応用 疾患解析への応用

血液疾患

著者: 平井久丸1 本田浩章2

所属機関: 1東京大学医学部附属病院無菌治療部 2東京大学医学部附属病院第3内科

ページ範囲:P.2136 - P.2138

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 Philadelphia染色体(Ph1染色体)は,慢性骨髄性白血病(CML)の90〜95%,急性リンパ性白血病(ALL)の10〜20%に認められる染色体異常である.これは9番染色体と22番染色体との相互転座t(9;22)(q34;q11)により生じ,この結果,9番染色体上のc-abl遺伝子と22番染色体上のbcr遺伝子との融合遺伝子産物p210bcr/ablが産生される1).P210bcr/ablは正常のc-abl遺伝子産物に比べて高いチロシンリン酸化能を持ち,この増強されたチロシンキナーゼ活性が白血病の発症に関与していると考えられている2).しかし,p210bcr/ablが実際に白血病の原因遺伝子であるかどうかを確かめるためには,逆に生体内で発現させることにより白血病が発症するかどうかを検討する必要がある.この目的のためには,個体内で特定の遺伝子を発現させることができるトランスジェニックマウスの手法が適している.ここでは,筆者らが作製したp210bcr/ablトランスジェニックマウスについて紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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