icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina34巻12号

1997年11月発行

文献概要

今月の主題 臨床医のための遺伝子工学 疾患治療への遺伝子工学の応用:遺伝子治療に向けて 日本での現状

癌の遺伝子治療:癌抑制遺伝子療法

著者: 藤原俊義1 田中紀章1

所属機関: 1岡山大学医学部第1外科

ページ範囲:P.2167 - P.2169

文献購入ページに移動
 最近の分子生物学的解析により,癌は癌関連遺伝子の異常が多段階的に集積した結果生じた遺伝子病であるという概念が定着しつつある.実際に切除標本を用いた検索で,前癌病変から進行癌に至る各段階での癌遺伝子の活性化や癌抑制遺伝子の不活化など,複数の遺伝子異常が検出されている.癌抑制遺伝子は,正常な状態では遺伝子転写,細胞分裂,DNA修複などに働いており,変異や欠失などの異常が生じることで癌化に寄与している.なかでも,p53遺伝子産物は転写調節因子として細胞周期やアポトーシス誘導に関する多くの関連遺伝子を制御しており,トランスフェクションの実験系では,正常なp53遺伝子導入による癌細胞の増殖抑制やアポトーシス細胞死が認められる1).さらにp53は,抗癌剤や放射線によるアポトーシスの過程でも重要であることが明らかになってきており,p53遺伝子の異常は癌細胞の抗癌剤耐性のメカニズムの一つと考えられる2)
 本稿では,このp53遺伝子を分子標的とした遺伝子治療の可能性について概説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら