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今月の主題 臨床医のための遺伝子工学 遺伝子工学のトピックス
ジーンタイトレーション
著者: 松川直道12
所属機関: 1大阪大学医学部第4内科 2
ページ範囲:P.2198 - P.2201
文献購入ページに移動一つは疾患モデル動物やヒトの疾患家系において,広くゲノム全体をカバーするマイクロサテライトのような遺伝子マーカーとその表現型との相関をみるか,またあらかじめ候補となる原因遺伝子を定めRFLPを調べるようなanalytic experimentである.この場合,原因候補遺伝子が絞り込まれたとしても,そのlocusとリンクしている他の遺伝因子の影響も受けうるなど,その遺伝子と疾患との直接的な因果関係が証明できない欠点がある.これに対してもう一つの方法論として考えられるのが,特定の遺伝子のみを選択的に不活化することによりその遺伝子機能を調べるsynthetic experimentであり,1990年にSmithiesらのグループが最初に成功1)して以来,ジーンターゲティングとして現在では広く普及している.その利用法もnull変異を作るにとどまらず,遺伝子の置換,挿入など様々な変異を導入することが可能である.
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