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今月の主題 臨床医のための遺伝子工学 遺伝子工学のトピックス
リボザイム
著者: 菊池洋1
所属機関: 1豊橋技術科学大学工学部エコロジー工学系
ページ範囲:P.2205 - P.2207
文献購入ページに移動 分子生物学では遺伝子DNAからそのコピーであるRNAができ,その情報に従って蛋白質ができることが,生きていることの基本であると教えている.多くの遺伝子が調和を保ち,適宜うまく発現されていることにより,生物は快適に時を過ごしていると思われる.しかし,遺伝子が変異を持っていたり,ウイルスなど外来遺伝子に侵入されたりして,この調和が乱されると,時に重篤な疾患となる.この遺伝子発現のステップにかかわる疾患としては,癌,遺伝病,ウイルス疾患などが含まれるが,その多くは根本的な治療法が確立されていない.悪い遺伝子を発現させないようにする一つの方法として,悪いDNAから読まれた悪いRNAを見分けて分解してしまえばよい,という方法が考えられる.そのためには非常に特異性の高いRNA分解酵素が必要とされる.そのようなRNA分解酵素が1980年代に発見され,現在,任意の標的のみを切断するような設計も可能となってきた1).
このRNA分解酵素は「リボザイム(ribozyme)」と呼ばれている.リボザイムは,RNA分解酵素ではあるが,それ自身蛋白質ではなく,RNAからできている.本稿では,リボザイムの発見から,その設計法,および医療への応用研究の現状について紹介したい.
このRNA分解酵素は「リボザイム(ribozyme)」と呼ばれている.リボザイムは,RNA分解酵素ではあるが,それ自身蛋白質ではなく,RNAからできている.本稿では,リボザイムの発見から,その設計法,および医療への応用研究の現状について紹介したい.
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