文献詳細
文献概要
内科医が知っておきたい小児科学・最近の話題・11
小児科からみた不登校
著者: 衛藤隆1
所属機関: 1東京大学大学院教育学研究科
ページ範囲:P.2239 - P.2241
文献購入ページに移動学校に行かない(あるいは行きたいのだけれども行けない)子どもは,一体いつからいたのだろうか.まだ日本が貧しかった頃には,貧困が理由で学校に行けない子どもたちは存在した.しかし,このような経済的な事由がないにもかかわらず,どうしても学校に行きたくない,行けない,行かないという状況がいつの間にか目立つようになり,登校拒否と称されるようになった.
昭和30年代にこのような名称が広く用いられたかどうか定かではないが,筆者の同学年の仲間にもこの状態に該当する児童・生徒がいたことを記憶している.必ずしも本人が積極的に登校を拒否するという明確な意志を持っているとは限らないので,登校拒否という名称は不適当であるという考えかたが広まり,いつしか不登校という現象を記述する用語が用いられるようになった.
掲載誌情報